Bidens ferulifolia ページ35
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消えていなかった自分の、テヨンさんに対する思いが身体を熱くさせた。
あの日初めて見た後ろ姿が、今のテヨンさんに重なる。
大まかな動きは変わってないけど、背が高くなった事で動きにより迫力が出ている。
それがまたセンターである事が納得出来る。
｢きゅうけーい！｣
曲が終わるなり床に倒れるジョンウさん。
｢どうでした？｣
小さく拍手していた私の元へドヨンさんが来てくれた。
｢凄く格好良かったです！
タイミングも揃っていて、まるで一人の人間が動いている様でした！
でもその中で個性が出ていて目がひとつでは足りません！！｣
久しぶりの団体ダンスに興奮が冷めずにいた。
｢そんなに言われたら、ヌナのこと好きになっちゃいますよー！｣
鏡の前から一目散に走ってくるヘチャンさんが、可愛くて仕方ない。
｢私も、ヘチャンさんのダンスを好きになっちゃいました！｣
私の言葉に本気で驚くヘチャンさん。
｢マジ？｣
低い声に変わり驚きながら嘘では無いことを伝えた。
｢やった！ヌナに好きになって貰えたー！｣
｢いや、ヘチャンじゃなくてヘチャンの"ダンス"を好きになったんだろ。｣
｢ヤー！今はそんな事は言わないでくださいよー！｣
さっきまで力強く踊っていた姿とは違い、年相応にわちゃわちゃし出すメンバー。
そんな光景を眺めていると、悠太さんに背中を押されながらこちらに向かってくるテヨンさんが視界の隅に映る。
｢なあなあ、今作曲家さんなんやろ？
ならいつか俺達とも仕事で関わるやろうから、良かったら連絡先交換せぇへん？｣
柔らかい笑みの悠太さんがスマホを手に出した。
｢是非！｣
仕事の事でならと自分もスマホを取り出した。
だが私の画面に浮かび上がったのは"テヨン"の文字。
｢え!?あ、名前が違う…｣
そう戸惑っていると、悠太さんが私の画面を覗き込んだ。
｢あってるで！だってこれ、テヨンのやもん。｣
笑う悠太さんの顔を見て慌てるテヨンさん。
｢え、ユタ何してるの!?｣
悠太さんの手からスマホを奪うテヨンさん。
｢だってそうでもしやな、交換せぇへんやろ？｣
｢いや、だからって勝手に…。てか、いつ取ったの？｣
困っているテヨンさんにこっちが申し訳なくなる。
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作者名：ゆうなす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年9月29日 18時
