forget-me-not TYside ページ17
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NCTとしてデビューが決まった。
お陰で今最高に楽しい。
この４年間、デビューを目指して必死に頑張ってきた。
デビュー後ももちろん、努力を惜しまないつもりだ。
でも１つだけ、気になっていることがある。
それは、１年間弱一緒に自主練をした女の子のこと。
僕より4つ下で日本から来た小柄な体型をした彼女は、周りを癒す可愛らしい子だ。
僕もお父さんから日本の話を聞いたことがある。
日本は優しい人が多くて暖かい国だと。
そんな国で育った彼女も、優しくて暖かい人だった。
｢どうした？テヨン｣
デビュー日までの流れを話す会議で、僕の隣に座るヨンホ(ジャニー)が話しかけてきた。
｢いや、ちょっと考え事。｣
｢集中しなよ。デビューしたら"リーダー"になるんだから。｣
そうだ。
僕はリーダーになるんだからしっかりしないと。
１時間弱の会議が終わり、僕達メンバーは最後に会議室を出た。
デビュー後に心残りがないようにと個々で練習を始める。
僕の心残りは、さっき話した女の子のことだ。
今日で自由に練習出来るのが終わる。
だから、最後にレッスン室をくまなく探した。
彼女に…"Aちゃん"にお礼を言わなきゃ。
自分のダンスに納得いかなかった僕は、いつも一人で最後まで練習していた。
頭の中がグチャグチャになるまで考えては体を動かした。
そんな中、とうとう挫けそうになった時があった。
自分一人だけで考えると、嫌なことばかり脳裏を過ぎっていく。
このままデビュー出来ないんじゃないかとか、
皆に置いていかれるんじゃないかとか、
とにかく暗くてジメジメした考えが頭から離れなかった。
それでも時間を…努力を無駄にしたくなかったから、必死に体を動かした。
いつも通りにレッスン室の端で減っていく人を横目に休憩していると、熱い視線を背中に感じた。
振り向くのには勇気がいったから、鏡越しで目線の先を見た。
そこには、僕を真剣なまなざしで見つめる女の子がいた。
汗の染みたTシャツに彼女も練習していたのだと気づく。
｢あの、なにか？｣
ずっと黙っている彼女に、勇気をだして話しかけた。
今思えば、あの時勇気をだして良かったなと思っている。
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作者名：ゆうなす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年9月29日 18時
