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｢今日もよろしく。｣
｢はい。よろしくお願いします。｣
最近私は気づいた。
私はテヨンさんのダンスだけでなく人柄にも惚れている事を。
一緒にダンスを始めて沢山会話をした。
いつから練習生なのかとか、憧れの先輩はとか。
いつも緊張していたテヨンさんの表情からたまに変わる無邪気な顔が素敵で、毎日この気持ちが膨れ上がっていった。
私がテヨンさんとダンスが出来るのは、通常レッスン後の個人レッスンだけ。
それも、２時間だけだ。
好きな人との時間に２時間は短く感じた。
もっとそばに居たい。
もっとお喋りしていたい。
もっと…もっと。
でも、不思議と恋人になりたいとは思わなかった。
私の存在が、もしも彼のこれからを変えてしまったら。
アイドルとしての花道を歩けなかった。
そう思うと、この気持ちを口には出せなかった。
私自身が黙っていれば、何も変わらないのだから。
ただの先輩後輩としてこのままそばに居れるのなら、幸せなことは無いと自分に言い聞かせていたのかもしれない。
｢テヨンさん。｣
私が名前を呼ぶと、
｢どうしたの？｣
分からないことがあるのかと聞いてくるかのように、優しくて暖かい声が返って来る。
１年だけの我慢だ。
自分の気持ちに蓋を閉めよう。
｢ここの体重の掛けかたが分からないんです。｣
｢…そこはね──｣
録画した私達の姿を見るため、二人の顔が近くなる。
画面をみつめるテヨンさんの顔を私は見つめる。
｢わかった？｣
テヨンさんが素早く顔を上げると、お互いの距離が近い事に気づき顔に熱を帯びた。
｢あっ、ごめん。｣
すぐさま距離を置く私達。
あぁ。胸が苦しい。
でも愛おしい。
｢私こそっ、すみません！｣
テヨンさんの背中を前にする毎日のレッスンが楽しい。
１ヶ月前に声をかけられて良かった。
同じ部屋でレッスンしていて良かった。
彼のダンスに一目惚れしてよかった。
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作者名：ゆうなす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年9月29日 18時
