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事務所の方と話す機会を頂いた。
その席に両親と共に出席した。
この時初めて、父の胸の内を聞いた。
｢娘は末っ子で、まだまだ子供な所があります。
甘えたで、寂しがり屋で、一人ですら買い物を怖がります。
ずっとそんな子だったから、私達が守らなくちゃと思っていました。
でも、そんな娘が自分で｢韓国に行く｣と決めたんです。
ずっと隣にいる娘が急に離れていくのは寂しいものですね。｣
お父さんの言葉に黙り込む事務所の方。
｢Aさんは、御家族と離れるのは寂しいですか？｣
私も今すぐに家族と離れるのは寂しい。
｢すぐには…私も寂しいです。｣
｢そうですか。｣
また事務所の方々が黙り込んだ。
｢では、中学卒業後から韓国へ来るのはどうでしょう。｣
お父さんと私は目を開けて事務所の方々の顔を見た。
｢それは、可能なんですか？｣
｢事務所の方へ志願は出来ます。ただ、必ずしも社長からの許可が降りるかはわかりません。｣
お父さんと目を合わせた後、私から声を上げた。
｢そう出来るようお願いします！！｣
そう言うと、社長さんへ連絡を取ってくれた。
目の前で韓国語の会話が繰り出される。
｢いまお幾つですか？｣
｢14歳です。｣
｢中学何年生ですか？｣
｢2年生です。｣
｢ありがとうございます。｣
それから数分電話をした後にまた話が始まった。
｢特別に許可が出ました。ただ中学を卒業するまでの長期休みの間は韓国へ来て頂く事が条件の様です。｣
お父さんの顔を見ると、小さく頷いてくれた。
｢それでお願いします。｣
こうして私は、中学の間は定期的に韓国へ行く事になった。
そして現在、中学2年生の夏休みに初めての渡韓を経験した。
｢さて、改めて契約内容を確認してくれるかな？｣
社長から出された数枚にわたる紙の束を受け取る。
そこには日本語で、なおわかりやすい文で書いてあった。
実は私はアイドル練習生ではなく、作曲家の卵として事務所に所属するのだ。
ただ、経験のひとつとしてアイドルを目指す練習生に混ざる事を強いられた。
そこに関しては不満は無い。
むしろ韓国の歳の近い子達に会うのが楽しみである。
｢よろしくお願いします。｣
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作者名：ゆうなす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年9月29日 18時
