Casa Blanca ページ20
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SMを去る日。
私は両手にいっぱいの花を抱えていた。
｢ううっ、A〜！｣
一緒に練習してきた子達が涙を流しながら私に怒りだす。
｢なんでギリギリまで言ってくれなかったのよー！｣
｢もっと沢山用意したかったのに。｣
私を抱きしめながら話す子に、私の手を強く握る子。
こんな優しい子達に出会えた私は最高に幸せ者だ。
｢そう言って貰えて嬉しいよ。ありがとう皆。｣
私の目からも涙が溢れ出す。
皆と一緒に事務所入口まで向かってくれてる途中に、ある人影が見えた。
それは…、
｢…マーク。｣
そこには、紙袋を持ったマークの姿があった。
｢ごめん。こんな物しか用意出来なかった。｣
そう言って手に持っていた紙袋を手渡してくれた。
｢私こそ、最後まで言えなくてごめんね。｣
｢アニ、俺たちが忙しかったから。
話すタイミングが無かったんでしょ？｣
眉を下げ申し訳なさそうにするマーク。
こっちまで胸が苦しくなる。
｢違うよ、マークは悪くない。だからそんな顔しないで。
でもありがとう。マークと練習出来て楽しかったよ。
あ…、そうだこれ。｣
ずっと手に持っていてどうしようか迷っていた袋をマークに渡す。
｢これは？｣
少しだけ黙ってからマークに伝えた。
｢テヨンさんに渡して欲しいの。｣
マークは驚いた顔をしてから直ぐに柔らかく笑った。
｢任せて。ちゃんと渡すから。｣
マークは数少ない私の気持ちを知っている人。
好きな理由も、告白しない理由も、全てを知っている。
｢ありがとう。｣
こうして私は、テヨンさんへの思いを込めた預けてSM事務所を去った。
もう会えないかもしれない。
思いが通じ合えるることも無い。
だけどせめての思いだけでも手紙には書かせてください。
私が貴方を心から好きだと言う思いを。
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作者名：ゆうなす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年9月29日 18時
