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それから、仕事帰りには毎日崇裕の病室へ足を運んだ。
その日のミスや愚痴、嬉しかった事や面白かった事を話すと、崇裕は楽しそうに全部に反応をくれる。
時折、「いいなぁ、俺も望と」なんて拗ねたように口を尖らせる姿が可愛くってたまらなかった。
たまに来る崇裕の友達とも仲良くなって、失った3ヶ月間を急速に埋めるように、俺と崇裕は濃密な時間を過ごしていた。
2ヶ月が経った頃、腫瘍の拡大を防ぐ手術も成功して、奇跡的に一時退院の許可が下りた。
その頃、崇裕は自分の足で満足に歩くことが出来なくなってた。
崇裕を乗せた車椅子を押して家に帰る。
あの時捨てようとしてた崇裕の服やら何やらを置いといてよかった、と笑うとほんまやな、と振り向いて嬉しそうに目を細めた。
「よーし、どこ行こっか？遠出はちょっと厳しいかもやけど」
「そうやな〜、海とかどう？」
「海？！この季節に泳ぐん？」
「あはは！そんなわけないやん！あ、望が泳いでくれるん？」
「なんや、びっくりしたぁ。でも崇裕が泳いでって言うなら頑張るよ」
携帯で様々なスポットを調べてみるも、やっぱり崇裕は海に行きたいって言うから車で海に向かった。
崇裕はご機嫌に歌なんて歌って、助手席からずっと俺を見てる。
「なに？」
「望ってさぁ、やっぱりかっこいいよなぁ」
「な、なんやねん突然！そんなこと言ったってなんも出てけぇへんからな！」
「思ったこと言っただけ。後悔してまう前にな」
「じゃあ俺も！……崇裕、大好きやで！」
「あ〜、それは反則やわ！」
崇裕は耳を赤くして窓の外を見るように顔を背けた。
知ってる？お前、照れてる時絶対首筋かくねん。
あ、ほら今も。
その様子を笑ってやると、崇裕はまた恥ずかしそうに俺を睨んでた。
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作者名：ひなこ | 作成日時：2022年12月17日 22時
