泣き虫(桃×紫) (ページ3)

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『......てますか？望さん』

「あ、ごめんなさい。……なん、でしたっけ」

照史の声にふと我に返る。

馬鹿、今更電話したところで、俺は崇裕にとって忘れたい事実やのに、なにを望んでたんやろう。

そう思って電話を切ろうとすると照史が一言、俺に告げた。

『崇裕、貴方に会いたがってます。後悔しないように、どうか早く』

「？……それってどういう」

『関西総合病院です。あ、切りますね、それじゃあ』

「え、待っ…」

次はツーツー、と言う通話終了を知らせる音が酷く虚しく響いた。
崇裕が会いたがってるってなんなん。しかも関西総合病院って……。

その瞬間、俺の頭の中に酷く不吉なことが想像させられた。

時計は19時を指している。ここから病院までは、車を飛ばせば20分も掛からへん。

俺は荷造り途中の段ボールやら衣服やらを放ったらかし、車のキーだけを手に取り、急いで部屋を出た。

初めて来たその病院は大きくて、体調不良に縁のない俺は少し圧倒される。
こんなに大きい病院に、なんで崇裕が？

面会受付に駆け込むと、本日の面会は19時までなんです。と断られてしまった。

「久しぶりに会うんです！そこをなんとか…！」

「………望…？」

診察受付も終了し、薄暗く人気の減ったロビーにか細い声が響いて俺の耳に届く頃、その人と目が合う。

「………崇裕………？」

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