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崇裕の葬儀はこじんまりとした小さなものやった。
きっと崇裕はそれを望んでいると思ったから、ご家族にもそれを伝えた。
あの子を愛してくれてありがとう、やなんて深々とお礼をされたけど、礼を言うのはこちらの方や。
あんなにも素敵な人と出会えたことは、感謝してもしきれない。
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葬儀も終わり、崇裕の遺品を整理していた時。
片付けに追われて、病室の隅に追いやられている箱の存在をすっかり忘れてしまってた。
崇裕、怒るかな、なんて惚けたことを考えながら小さな箱を手に取り、中を見た。
「手紙……？」
淡い色の便箋が1枚だけ、寂しそうに置かれてて、封を開けると、案の定手紙が入っていた。
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「なんやねん……………やめろや…………！」
崇裕から送られた、涙の痕がシワになってしまったくしゃくしゃの手紙。
最初で最後の手紙。
元々あまり綺麗ではない字は酷く滲んで、読めない部分まであることに、全くどんだけ泣きながら書いたんやって笑ってしまう。
そのくせ、涙は止まることを知らなくて、忙しすぎる感情に振り回されるのも、崇裕のせいなら悪くないと思えた。
どうせ、今『泣き虫』って思ったやろ。
しゃあないやろ、葬式では泣かんかってん。
お前が俺の笑顔が好きって言うてたから。
でも崇裕も大概、泣き虫やってんな。
そう言いながら手紙を鞄に直して、綺麗になった病室を後にした。
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作者名：ひなこ | 作成日時：2022年12月17日 22時
