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「崇裕の目、ほんまに綺麗」
「当たり前やろ…、俺の、自慢やもん」
涙でぐちゃぐちゃの俺の顔に手をやって、優しく頬を撫でた。
そうして、またいつものように困った顔で笑う。
「もっと……よく見せて、望………」
「崇裕...っ」
「大丈夫、……泣かんといて、笑ってぇや……」
崇裕の言葉に必死になって笑顔を作った。
ぎこちなくたって構わない、崇裕は嬉しそうに頬を緩めた。
「ほんまに…好きやなぁ……」
「俺も、崇裕、大好きやで…!」
「なぁ、望…。ちょっとだけ…寝るからさ、起きるまでに、……そこの箱の中に、ある…もん、見てて欲しいねん」
掠れた声が呼吸器越しにそう言った。
崇裕が弱々しく指を指す先にある小さな箱。
崇裕に託された願いを、懸命に頷いて分かったと伝える。
「うん、うん…分かった。……ゆっくり寝て…ちゃんと起きるまで待ってるから…」
「よかった……おやすみ、望……、愛してる…よ…」
それだけ言うと崇裕は安心したような顔で目を閉じた。
そうしてまもなく、崇裕は息を引き取った。
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作者名:ひなこ | 作成日時:2022年12月17日 22時