桜の花びら四枚 ページ5
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彼女の膝に置かれた本の頁が風によってペラペラと捲れていく。
女と目があったまま暫く沈黙が続いた。
「あー、此れはだな……」
異能力を持つ者は少なからずいる。だが一般人にとっては珍しい事は変わりなく異能力の存在自体知らない人もいるのだ。
異能力知らない奴の前で突然男が壁に立ってるなんて有り得ない光景だろう。
説明する言葉も見つからず口籠もりながら手に持っていた帽子を深く被り直した。
『ふふ。』
その時耳に入ってきた笑い声に視線を女に移す。先刻迄驚いた顔をしていたのに彼女は笑っていた。
『凄い。手品師さんですか?』
………は?………手品?
彼女が云っている意味を最初は理解できなかったが俺の異能力をみて彼女はそう判断したのだろうと思い直し、「ま、まぁな」と切れの悪い返事をした。
何故か居た堪れなくなり話を変えようと視線を動かせば目に入った桜。
「こんな処にも咲いてんだな桜」
『えぇ。___とても綺麗ですよね』
柔らかい鈴のような声。
目を細めて桜を見つめる彼女の笑顔に目か離せなくなった。
「嗚呼、………綺麗だ」
彼女の言葉に続けてそう答えたのだろうか。
____否。彼女の笑顔を見て口から溢れるように出てきた言葉だ。
Aとの出会い
それは
桜舞う
春の日のこと
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月華桜(プロフ) - リーザさん» コメント有難う御座います!楽しみにして頂けているなんてとても光栄です!これからも応援よろしくお願いします! (2019年5月12日 16時) (レス) id: dc051cccc9 (このIDを非表示/違反報告)
リーザ(プロフ) - コメント失礼致します。いつも月華桜さんの作品楽しみに読ませていただいております。とても綺麗な文章で、更新される度に感動してしまいます。これからも無理のないよう更新頑張ってください。応援しています(´∀`) ( (2019年5月12日 15時) (レス) id: 0dd43e413c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年5月8日 20時