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桜の花びら二十枚 ページ21

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俺は顔に熱が溜まる気がした。
目の前で自分の足元を見つめて燥ぐA。
これまで見たこともないくらいのその笑顔に胸が煩いくるいに騒ぎ立てる。



勿論A自身の力だけで立てているわけではない。俺が異能力でAを支えているのだ。Aの体の重力を最小限に抑えAが自分で立てるようにしている。




『もう少し歩いてみていいですか?』


「嗚呼、いいぜ」



Aの言葉にもう一度手を引きながら一歩一歩と歩いた。
その度に喜ぶAを見れるのは悪くない。



『凄い!こんなに歩けました。やっぱり中也さんは凄いですね』


「あ?何で俺なんだよ。此処まで歩いたのは手前だろ」



俺の言葉にAは笑顔で首を振る。



『いいえ。中也さんがこうやって手を握っていてくれるからですよ。私、中也さんといると何でも出来るような気がするんです。勇気が出るんです』




花のようなその笑顔。
嗚呼、そうだ。俺はその笑顔がずっと見たかったんだ。







気づけばAの手を引き寄せてその可憐な体を腕に収めていた。









『中也さん?』




中也の優しく体を包むようなその抱擁にAはされるがままだった。
Aが不思議そうに彼の名を呼ぶ。その声に中也はAの耳元に唇を寄せた。



「A。___好きだ」




耳元で囁かれた愛を伝える言葉が擽ったい。
その言葉に顔が赤くなったAを余所に中也は唇をAの首筋に移動させる。
チクリと走った痛みにAは無意識に中也の服を握りしめた。



体が熱い、心臓が煩い。
この音が中也にも伝わってしまうのではないかと思うほどにAの心臓はドクドクと音を立てていた。





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月華桜(プロフ) - リーザさん» コメント有難う御座います!楽しみにして頂けているなんてとても光栄です!これからも応援よろしくお願いします! (2019年5月12日 16時) (レス) id: dc051cccc9 (このIDを非表示/違反報告)
リーザ(プロフ) - コメント失礼致します。いつも月華桜さんの作品楽しみに読ませていただいております。とても綺麗な文章で、更新される度に感動してしまいます。これからも無理のないよう更新頑張ってください。応援しています(´∀`) ( (2019年5月12日 15時) (レス) id: 0dd43e413c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年5月8日 20時

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