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桜の花びら十六枚 ページ17

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Aは中也に抱きしめられながら一頻り泣いた。大分落ち着いてきた頃ゆっくりと体を離した二人。赤くなったAの目元を中也がそっと指先で摩った後、二人して微笑んだ。




「少しは落ち着いたか?」


『はい。有難う御座います』



Aがそう云った時、部屋に小さな音が響いた。だが、その音は中也の耳にも聞こえたようでキョトンとした顔でAを見る。
彼女は自分のお腹を抑えながら顔を赤くし俯いた。




『ご、御免なさい。私、安心したら急に』



どうやらその小さな音はAのお腹が鳴った音らしく。その音の正体を理解した中也が小さく吹き出した。



「最近食ってねぇからだろ?待ってろ、何か持ってきてやる」



そう云って病室を後にした中也を見届けてからAはふぅと息をついた。





暫くして中也が持ってきた食事にAは口をつける。今迄のが嘘のように食べ進められることにAは自身で驚きつつも暖かい食事を全て食べた。



『ご馳走様。とても美味しかったです』


「これからはちゃんと食えよ。病気を治すにはまず体力をつけねぇ事には始まらねェからな」


『はい。』




笑顔で頷いたAを見て中也も笑った。
食べ終わった食器を隅に置いた中也はAを休ませる為掛け布団を彼女に掛け直す。



そして、中也は窓の外を見た。
窓からは夕焼けが見える。面会時間はそろそろ終わる頃だ。名残惜しい気はするが仕方ない。そろそろ帰ると伝えた中也はそっとAの額に口付けた後、外套を翻して病室を後にしたのだった。









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月華桜(プロフ) - リーザさん» コメント有難う御座います!楽しみにして頂けているなんてとても光栄です!これからも応援よろしくお願いします! (2019年5月12日 16時) (レス) id: dc051cccc9 (このIDを非表示/違反報告)
リーザ(プロフ) - コメント失礼致します。いつも月華桜さんの作品楽しみに読ませていただいております。とても綺麗な文章で、更新される度に感動してしまいます。これからも無理のないよう更新頑張ってください。応援しています(´∀`) ( (2019年5月12日 15時) (レス) id: 0dd43e413c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月華桜 | 作成日時:2019年5月8日 20時

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