君の言い訳を聞かせて【taiga.k】 (ページ5)

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……

一瞬考えた。

幼馴染の気持ちを考えたらラインは交換しない方がいいのでは？
いや。これはむしろ、ラインを交換することによってキューピットとして活躍できるかも？！

これだ！！！！

『プリンスと私は今日から友達。オッケー？』

京「オッケー」

『よし。交換しよう』

京「なんだよそれ笑」

口元を隠し笑いながらプリンスはピンク色の携帯を取り出し、ラインを交換した。
ピンク好きなのかな？

男友達ができたことに少し浮かれてしまっている。

自分の気持ちが少しでも動いていることに、私はこの時気付けていなかった。

自転車置き場に着いて、チャリの鍵を外してみんながいる場所にチャリを引きながら歩いて戻る。

京「あのさ」

『なに？』

京「プリンスって呼ぶのやめて」

『公認なんじゃないの？』

京「アホみたいじゃん。プリンスって」

『なんだ。自分でアホって分かってたんだ。安心したんだけど笑』

ぶはは！！と思わず笑ってしまった。
でも、本人公認じゃないことに少しだけホッとした。
ゆゆかが好きな人は案外普通の人なのかも。

『じゃぁ、なんて呼べばいい？』

京「んー…名前とか？」

『京本くん？』

京「あ。そっちなのね」

『あなたは、京本』

京「はい。私が京本です」

何この時間、なんて二人で笑いあう。
名前で呼んでなんて、ずるいよね。

あなたと私は友達です。

それ以上なにもありません。

って気持ちを込めて。

ゆゆかを安心させるために

私は京本ってなにがなんでも呼ばなきゃいけないんだ。

ゆゆかがいた駐車場に戻ると、チャリの荷台にゆゆかを乗せて、家まで帰った。

「2人でどこ行っちゃったのかと思った」

私の背中に顔を埋めて、今にも消えちゃいそうなゆゆかの声。

『自転車置き場まで心配だから着いて来てくれたんだって。さすがプリンスだね』

「ゆゆかも行けばよかった」

『今度は一緒に行こう』

「…うん」

『あとね、京本とライン交換したけど、ゆゆかのためにしたから。やましい気持ちないからね』

「…そっか。ありがと！」

嬉しそうな幼馴染の顔を見て

心がざわついた気がしたが、

私はその気持ちに気付かないフリをして

蓋をした。

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