君の言い訳を聞かせて【taiga.k】 (ページ12)

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先程から少し不機嫌そうな京本を横目に、
親友との待ち合わせ場所に移動していた。

『ねぇ、なんか変だよ？』

京「うるさいな、変じゃねーよ」

『そうだ。電子辞書返す』

京「あ、どうも」

『全然気付かなくてごめんね』

京「なんで気付かないかな。
普段から勉強しないやつはこれだから…」

『うっわ！頭がいいからって調子のんなよ！おりゃ！』

なんとなくムカついたから、肩パンをお見舞いする。
触れた京本の肩は、女子とは全然違って硬くてしっかりしていてびっくりしてしまった。
ああ、男子ってこんなにガタイがいいんだな。

京「痛えな！男かよ！」

『こんなんで痛がってるなんて、普段から脳みそしか使ってない証拠ですかねぇ～？』

京「どう考えたって、脳みそ使ってる方が偉いだろ」

『…たしかに』

不機嫌な京本は、いつのまにか笑っていて少しホッとした。
今日のミッションの電子辞書も返せたし、これでいつ帰っても大丈夫。準備は整った。

そのまま2人で待ち合わせ場所に向かうと、甚平を着た親友が大きく手を振っている。

「Aーーーーーーー！！」

急いで駆け寄ると、親友は手に金魚を持っていて目立つ。

「待ちくたびれたから金魚すくいやっちゃった」

『ごめん！ごめん！お待たせ！
こちらが噂のプリンス』

京「どうも。噂のプリンスです」

親友に紹介すると、すぐに肘で突かれ小声で「おい。噂ってなんだよ」って笑って聞かれた。

「女子校あるあるだよね。イケメン情報はすぐ回っちゃうから」と親友はニヤニヤしながら、京本の全身をくまなくチェックしている。

「ふむふむ、よいでしょう。私のイケメンデータファイルに認定します！」

京「えーと、ありがとうございます？」

全身査定が終わったようで、満足そうな親友。
私の隣で京本は苦笑いしていた。ぼそっと「Aの友達、クセすごすぎ」って聞こえたけど、聞かなかった事にしておきます。
(女子校はキャラが命だし、いかに自分のキャラ確立させマウントを取るかの戦いである)

出店を何個か物色し、冷やしきゅうりを食べなが花火がよく見える場所に移動していく。
ほどほどに空いている河川敷に座って花火を鑑賞した。

鑑賞中は隣に座った京本との距離が思ったよりも近くて緊張してしまったが、花火の爆音によってその緊張もあっという間にほぐされる。

「「「た～まや～！！！」」」

最後の特大の、一発が上がり、空はあっという間に真っ暗になってしまった。

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