君の言い訳を聞かせて【taiga.k】 (ページ1)

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夏祭りページ1

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あれは高校1年の夏。

夏休みに入る直前の放課後、幼馴染のゆゆかから相談を受けた。

「A、好きな人ができたの」

『えぇ！！いつの間に？！おめでとう～～！！！』

「えへへ。ありがと！それでね、夏祭り行くって言ってたから、Aも一緒についてきて欲しいの」

『もちろんだよ！ゆゆかの好きな人見たい！！』

女子校の私達は、異性との出会いというものが全くなく、恋愛したい気持ちはあってもなかなか現実味がない。

登下校の甘酸っぱいエピソードも、学校まで家から自転車通学なので電車に乗ることもなく、ましてや二人乗りして帰るなんて夢物語だった。

幼稚園からの幼馴染のゆゆかは恋愛体質であったが、非常勤の先生を好きになったり、近所のガソリンスタンドのお兄さんを好きになったりしていて、いつも結ばれることがない。
そんな彼女の久々の恋愛話に私も一緒に浮かれてしまった。

「浴衣とか着てこないでね！普段着ね！」

『分かった。分かった』

「絶対だよ！」

『わかったってば～！』

ゆゆかに念を押されて、当日はおめかしなしの普段着で。
化粧とオシャレもしない約束になった。
(だって私は引き立て役だ)

下校時間のチャイムが鳴り、お互いに自転車に乗って正門をくぐり下校していく。
正門に立っていた生活指導の先生の「気をつけて帰れよ～！」という声があっという間に聞こえなくなった。

自転車を漕ぎながら話を続けていく。

『ゆゆかの好きな人とはどこで出会ったの？』

「ほら、高校に入って塾に通い始めたでしょ？」

『駅前の？』

「そう！そこのクラスが一緒なの」

『へぇ～！塾に出会いがあるのか…』

塾に行きたいって親に行ってみようかな。
そんな邪な気持ちが過った。

「プリンスって呼ばれてて」

『は？！』

「王子様みたいだから」

『え、ダサくない？本人公認？』

「多分公認。でも、本当にプリンスみたいにかっこいいんだよ！！！」

公認してるプリンスって自意識過剰にもほどがあるだろ。絶対ナルシスト！
ゆゆかの好きになる人ってちょっと変わってる人が多いから心配だなぁ。

お互いの家は自転車で3分くらい離れた場所にあるため分かれ道で一度ブレーキをかけて止まる。

「夏祭りの日、絶対忘れないでね！」

『分かった！バイバイ～！』

手を振りながらまた自転車を漕ぎだした。

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