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「ねえA、このまま抜け出さない?」
いつのまにかギリギリまで近づいていたエイジくんが、私の耳元で呟いた。
「え…」
「いや?」
私を覗き込むようにして上目遣いをするエイジくん。だからその顔反則だって…!!!
返事をしようと口を開く、
はずだった。
「Aちゃーーーーん!!!
みっくんとりっくんも連れてきたよ!」
そらちぃさんが楽しそうに戻ってくる。
隣でエイジくんは軽く舌打ちをしていて、「あーあ、残念」と微笑んでいた。
「りっくん、Aちゃんって誰?」
「みっくんが知らないなら俺も分かんないよ」
みっくん、りっくんと呼ばれる男性が、そらちぃさんに連れられてやってきた。
ツリメさんと、リクヲさんという名前らしい。
自己紹介をし、話の流れを説明する。
「え!あのアーティストさんのグッツとかも作ってるの?!俺それ持ってます!!!すげええええ!!!」
「みっくん、落ち着いて。興奮し過ぎて口あいてるよ!!」
「サイン!サインください!!!」
そう言って、ツリメさんは今来ているTシャツの裾を私に差し出す。
「ペン!ペン!ペンどこ!!」と探しているが見つからないようだった。
「サインとか書いたこと無いんで無理ですよ〜!!!」
私の声も届かず、ツリメさんはペンを探しにフラフラとどこかへ行ってしまった。
自由で面白い。皆さん酔っ払ってるから仕方ないのか。
持っていたシャンパングラスの残りを全部飲み干して、そろそろ帰ろうかとテーブルにグラスを置く。
本当はぁぃさんにも挨拶したかったけど、この人混みで見つけられなさそう。
「私、そろそろ帰りますね。エイジくんも大丈夫そうだし」
「え?Aちゃん、もう帰っちゃうの?」
「はい。そろそろ。明日も仕事ですしこの辺で!」
「えぇー!せっかく来たのにもうちょっとお話ししようよーー」
そらちぃさんがヤダヤダ!と駄々をこね始めたが、鬼の心で帰ります!と宣言した。(駄々こねてる姿が可愛いなんて思っていません!)
「Aも忙しいんだから、迷惑かけないの。ほら、出口まで行こ」
エイジくんが私の腰に手を回して、そのまま出口までエスコートしてくれるみたい。
ここに来てからエイジくんの距離の近さは気になったが、酔っ払い相手に何を言っても仕方ないので、そのまま大人しく出口までエスコートしてもうことにした。
何事も諦めが肝心だよね!
(嬉しさと、ドキドキを隠しながら)
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りん - 続き気になります…楽しみにしてます! (2020年12月7日 14時) (レス) id: 9136d89cd3 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (2020年6月24日 15時) (レス) id: 1f194d63ba (このIDを非表示/違反報告)
かお(プロフ) - ユウキさん» ありがとうございます!!とっても嬉しいです(;o;)これからもワクワクしていただけるように頑張ります!! (2019年5月26日 20時) (レス) id: ad4aaf0953 (このIDを非表示/違反報告)
ユウキ - 素晴らしいです。展開が最高にワクワクします! (2019年5月25日 7時) (レス) id: 3415d88ff2 (このIDを非表示/違反報告)
かお(プロフ) - かなとさん» すみません!気付かず失礼しました!ご指摘ありがとうございます。 (2019年5月22日 21時) (レス) id: ad4aaf0953 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かお | 作成日時:2019年5月22日 21時