最悪の展開 ページ10
.
それから、夏目さんとはよく会うようになった。
もちろん、あのベンチで。
互いにふらっと立ち寄ったり、時には待ち合わせたり。
コーヒーを持ち寄ったり、カフェで待ち合わせてそのまま来たり。
話をしたり、お互い本を読んだり動画を見たり。
いない日は、来ないの?とLINEを送ったり。
今日雲の形が面白い、LINEをもらったり。
そんな関係で、知り合って1ヶ月が過ぎた。
夏目さんのことは、たくさん知ることができた。
歳は2つ下、IT系の仕事、東京都出身。
食べ物は全部好き、嫌いなものは虫と口内炎。
スポーツは全く知らない。俺のことは、スポーツ関係の仕事だと言ったら(嘘じゃないし)、ジムトレーナーだと思ってる。
別に肯定も否定もしない。
けど、イタリアはジムが有名なのか〜とか言ってた時は流石に大笑いした。そうかもね、って言っておいた。
.
本当に久しぶりだった。
体の節々が痛む感覚。目の奥、頭の中がズキズキと痛む感覚。
何をどう気をつけていたとしても、逆らえないこともある。
チームドクターに風邪だと告げられた。
微熱だったし、意識もはっきりしていたから、そのまま車で自宅まで戻った。
練習に参加できないことは惜しい。
特にシーズン中だし、迷惑をかけてしまいかねないことがすごく心苦しい。
でもこうなってしまったからには、休息しかない。
一度家に戻って、冷蔵庫の中身を見てから買い出しに行こうなんて思ってたけど、やばい。
自宅の駐車場に着いた途端、安心感からかなんなのか、どっと疲れが出た。
まじでむり、視界歪む。
必死で歩いて家まで辿り着き、玄関に入った瞬間卒倒しそうになった。
黒い7cmのハイヒールと、ゴテゴテしたショルダーバッグ、ファーのコートが投げ捨てられていたから。
.
141人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時