いいところ ページ9
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「まじか、こんなとこ知らなかった」
沈みかけの夕日が、街並みの奥に見える。
景色が一望できるわけではないけど、目の前がひらけて、遠くの海まで見えそうだった。
彼女に連れてこられたのは、いくつか路地を通った先にある、さらに狭い路地を通った先にある丘のような場所。
何年も住んでたけど、こんなとこ知らなかった。
すぐ隣にベンチがあって、彼女はそこに腰掛けた。
「たまたま昨日、道案内してくれたおばさんに教えてもらったんです。絶対石川さんを連れて来たい！と思って」
「…なんで？」
「おばさん、ここは本当にお気に入りの場所だから、旦那さんにしか教えてないんだって。だから私に教えてくれる時も、"特別な人にしか教えちゃダメよ、人気が出ちゃうから"って」
「……へえ」
「石川さんは、恩人なので。ぜひご招待させていただきたくて」
どうぞ存分にお楽しみください、とドヤ顔の夏目さんが面白くて、笑ってしまう。
「恩人とか、リアルに言われるの初めて」
「私も言ったの初めて。言うことあるんだ、って感じ」
彼女の隣に腰掛けると、ちょうどいい位置に夕日が見えた。
めっちゃ心落ち着く。いいとこ見つけた。
「ねぇ、携帯戻ってきた？」
「戻って来てないけど、仕事用を私用にしました」
「じゃ、はい」
右手を伸ばし、手のひらを彼女に見せる。
キョトンとした顔で手のひら見つめてるけど。
見て、生命線長いでしょ、じゃないから。
「LINE、教えて。スマホちょうだい」
恩人なんでしょ、それくらい教えてよ。
いいですよ、と渡されたスマホはロックすらかかってない無防備さで。
すぐQRコードを読み取って、一つスタンプを送る。
「わー、はやい」
「なんかスタンプ送って」
「ああ、はいはい……」
NATSUMEというユーザーから送られて来たのは、なんとも言えない気の抜けたうさぎのスタンプだった。
"はろー"と、気の抜けた言葉も添えられてる。
「これで予約するから、ここの席」
途端に恥ずかしくなって、適当に理由をつけてベンチを立った。
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (
レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます（ ; ; ）更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです！ (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります！ (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yajirushi. | 作成日時：2024年3月3日 0時
