お友達 ページ8
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「びっくりした。何してたの」
失礼します、と目の前に座る彼女の手には、ハートのラテアートが施されたカップ。
カバンと花束を隣の席に置き、こちらに向き直して「もったいない…」と言いながら口をつける。
「最近家、いた?全く会わなかったけど」
「いましたよ、日中は外に出てたけど」
美味しい!と笑う彼女に、ここ美味しいよね、と返す。
「スーパーも行ったし、デパートみたいなとこも。基本的になんでもお家に揃ってるから、ホテル泊まるより良かったです」
「へー、よかったね。あのアパート、割と人の出入り激しいと思ってたら社宅だったんだ」
窓の外で、子供がキャッキャっと走り回っている。
それを見て楽しそう、と彼女は目を細める。
なんで旅行に来たの?なんで、1人なの?
スマホは?もう大丈夫?
日本ではどこに住んでるの?仕事は?
いろんな聞きたいことが頭に浮かんできて、どれから消化していけばわからず、結局黙り込んでしまう。
何も気にせず聞けるほど、話すのは得意じゃないし。
第一、人見知りな方だし。
そんなことをしているうちに、カップの中は空になる。
大したことも話さず、あの角にはパン屋がある、とか今日は別の色の猫を見た、とかそんな話しかしなかった。
時々店内の音楽に耳を傾け、日本でも流れてるよねなんて。
彼女がカップの中を覗き込む。
まつ毛、長いな。
「あ、そういえば」
「ん?」
「石川さん、この後時間あります?」
「なんで?」
「いいところ、見つけて」
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時