花とコーヒーと ページ7
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あれから2週間ほど経った。
同じアパートに住んでいるはずなのに、あの日を境に夏目さんには会えていない。
別に顔見知りなだけだし、連絡先を交換したわけでもないから、当然だとは思うけど。
また猫を撫でていたり、少し行ったところにあるジェラート屋にいるんじゃないか、とかスーパーにいたりするんじゃないかとか。
そんなことを考えながら過ごす毎日だった。
ずっとあの笑顔が、表情が、忘れられずにいた。
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そんなある日、少し歩いた先にあるカフェでタブレット片手にコーヒーを飲んでいた。
チームから送られてきた、次の対戦相手の動画を見る。
ここは混んでいる時は混んでいるけど、昼過ぎはだいたい静かになっている。
穴場を見つけたみたいでちょっとお気に入り。
いつも座る席に、年配のご婦人が座っていたため、今日は窓際に座った。
日差しが少し邪魔で、タブレットに反射しないよう調整が必要。
不意にコンコン、と隣の窓を叩く音がしてそちらを見ると、ヒラヒラと小さな手を振る夏目さんがいた。
びっくりした、なんで、いや近くに住んでいるけど。
まさか会えるなんて。
驚いて何もアクションを起こせない俺とは反対に、彼女は俺の前の席を指差す。
"そこ、いいですか？" "うん、いいよ"
目と表情で会話をすると、嬉しそうに店内へと入ってくる。
赤いカーディガンにデニムのパンツ、無造作に結ばれたお団子に淡いベージュのコート。
そして、腕には小ぶりな花束が抱えられていた。
身振り手振りで店員の女性と話す彼女に助け舟を出そうとしたが、やめた。
何か注文できたらしい彼女が、花束の中から一本花を取り出し、店員さんに渡す姿が見えたから。
きっと言葉はうまく伝わってないけれど、嬉しそうな彼女と、それを見てまた笑顔になる店員さんを見ると、「この人は、生き物から好かれる人なんだな」と思った。
俺が必死に語学を身につけようと、教科書と睨めっこして習得した言葉よりも、もっともっと魅力的で特別なものだと思った。
俺の頑張りはなんだったんだ、と一瞬家にある教科書たちが頭に浮かんだけれど。
あの笑顔を見ていると、「これは才能だ」とただ単純に彼女の凄さを羨ましく思った。
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (
レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます（ ; ; ）更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです！ (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります！ (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yajirushi. | 作成日時：2024年3月3日 0時
