検索窓
今日:38 hit、昨日:23 hit、合計:10,364 hit

誤解 ページ42

.






今日はオフで、朝から一通りのトレーニングを終えた後、すぐ自宅に戻った。






雨が思いの外降っていて、今日は自宅にこもろうとコーヒーをカップに注ぐ。









のんびりチームから送られてきた動画を見ていると、外で女性の声が聞こえた気がした。




思わずイヤフォンを外したけど、もしかして俺、Aちゃんの声が空耳で聞こえた?






マジでいよいよヤバいよ俺、と思いながらもう一度イヤフォンをつけようとすると。








「…やっぱAちゃんの声じゃん」








ドアの向こうで、今度はAちゃんの声がはっきり聞こえた。









デート、早く終わったのかな。




会いにきてくれたのかな。






なんて思いながら浮き足立って、なるべく急いで玄関に向かった。












「Aちゃん?チャイム鳴らしてくれてもいいのに……………















………………エレナ?」








浮ついていた気持ちは、ドアの向こうの光景を目にして一瞬でなくなった。








『ユウキ!!』








突然首に回される腕と、甘ったるい香水の匂い。









何のことかわからず動けずにいると、エレナのブロンドヘアの奥で、立ち尽くすAちゃんの姿が目に入った。







ひどく混乱したような、哀しそうな顔をした彼女は、何かを言おうと口をパクパクさせた後ゆっくりと閉じた。





そして








「…お友達に、なって。エレナさんと。





ボーイフレンドが日本人だって、だから会わせたいって。










……石川さん、だったんだ」









Aちゃんの目にゆっくりと水が溜まって、それを溢さないよう視線が逸らされた。












「ちがっ、Aちゃん、違うから。説明させて」














その表情を見て我に帰った俺は、弁解しようと首にまとわりつく腕を振り払う。






するとエレナは俺を一瞥した後、Aちゃんに向かって「私のボーイフレンド、ユウキ」と、拙い日本語でそう言った。






「A、フレンドだった?ユウキ」





「Aちゃん違うから、ちゃんと「初めまして」








「ユウキさん」










そんな声で、呼ばれたいんじゃない。




そんな表情で、見られたいんじゃない。








「まって、Aちゃん!」



『ユウキ、行かないで』











右手にまとわりつく腕に阻止され、走って出て行く姿を追いかけることができなかった。












外は、雨だった。






.

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

←仕返し



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
141人がお気に入り
設定タグ:石川祐希
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。