頂戴 ページ39
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勢い余った俺の行動は、「ストップ」というAちゃんの声に制された。
「…なんで」
「早い。まだ私、石川さんのことが気になるだけです」
その言葉に、現実に突き返されたような気持ちになる。
そうだ、Aちゃんにとっての俺に、まだ名前はない。
キスなんて到底、していいはずもない。
淡い期待を抱いた自分が恥ずかしくなって、「じゃあ」と声を出した。
「じゃあ、どうしたらいいの」
「んー、もっと知りたい」
もう十分知ってるでしょ、と思うけどそれは俺がAちゃんのことを一方的に知っているだけかも。
質問攻めしまくったし。それはごめん。
「はい。じゃあなんでも質問してください」
「なんでも？」
「はい。なんでも。答えます」
降参です、というポーズを取ると、隣で彼女は正座をした。
「ハイ先生！」なんてルンルンで右手を上げるから、「はい。夏目さん」とノってあげた。
「身長はいくつですか！あ、あと体重！あとー…好きな食べ物？」
超基本的な質問事項に、俺はどんだけ知られてないんだ…と半ば絶望。
「…Wikipediaを見なさい。夏目さん、予習不足です」
「えーー」
「罰として、腕立て100回」
「えぇーーー！？」
熱血体育教師(現代なら懲戒)ばりのセリフを言ってみせると、本当に罰を言い渡された学生のようなAちゃん。
石川先生は優しいので、コーヒーもう一杯で勘弁してあげます。
コーヒーを淹れ直す彼女の背中に向かって、視線を送った。
なんでも教えるからさ。
俺がどう生きてきた、とかどう感じてる、とか。
どんな辛いことがあった、とか楽しかった、とか。
だから名前を頂戴。
あなたのそばに居ていい、理由となれるだけの名前を。
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (
レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます（ ; ; ）更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです！ (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります！ (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yajirushi. | 作成日時：2024年3月3日 0時
