近距離 ページ36
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「…何話したの」
「えっと、日本人？って声掛けられて、向こうも旅行で来たそうで。1人ですか〜とか」
「へ〜」
「どうかしました？」
キョトンとして首を傾げる彼女。
あの時、あの会場で、遠目で見ても綺麗だと思った彼女。
そりゃ他の男も同様に思っているはずなワケで。
俺だけが知ってる、俺が見つけた、なんて驕りが1ミリでも自分の中にあったことが恥ずかしい。
「…連絡先とか、聞かれたの」
「ああ、はい。なんか行きたい場所があるけど、慣れてなくてわからないから今度教えてほしいって。まだ2週間くらい滞在するそうで、それで」
は？なにそれ。
なんで同じ旅行者のAちゃんに聞くわけ？
そんなの現地人に聞いたほうが絶対いいよ、オススメする。
てかAちゃんの連絡先登録できる端末あるんじゃん、その端末で調べてみれば？
ただの鉄の塊じゃないんだから。
「それナンパでしょ」
「なん、ぱ？」
まさか〜この歳でないですよ〜とケラケラ笑うAちゃんにもムカつく。
自分の魅力にも気付いてないくせに、なに余裕そうに笑ってんの。
言っとくけど、俺が今君に何しても、絶対抵抗できないじゃん。
あの男もそうだよ？ねえ、わかってる？
けど________
そんなこと言う権利、俺にない。
俺はAちゃんの友達だし、この先Aちゃんが誰と付き合おうが、関係ないと言われたらそれまで。
彼女はその笑顔を、誰に向けるんだろう。
小さいその手を頬に触れて、華奢な腕を首に回して。
だれに？
俺じゃない？
「！？」
ヘラヘラ笑っていた彼女の後頭部を片手で掴み、グッと顔を近づけた。
もう片方の手で、彼女が持っていたコーヒーがこぼれないよう支える。
鼻と鼻が触れそうな距離で、Aちゃんは驚いてカップを落としそうになった。それを、受け取る。
俺は彼女をまっすぐ見つめるけど、視線は合わない。
瞼の奥で瞳が、行き場を失って慌てているみたいだった。
「ち、近いです……」
「近づいてるからね」
このまま唇を重ねたら、Aちゃんはどう思うだろうか。
驚いて、怒るだろうか。
悲しんでしまうだろうか。
どっちにしろ、俺にはそんな勇気がなくて、そのまま額をくっつける。
彼女の体温がじんわり伝わってきた。
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (
レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます（ ; ; ）更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです！ (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります！ (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yajirushi. | 作成日時：2024年3月3日 0時
