嫉妬 ページ34
.
夜。
試合後、少しチームメイトと食事をして、帰路についた。
食事の場でも最近の俺について話題が出て、チームメイトの奥様方にいろいろ言われたけど。
俺はそれどころじゃなくて。
店を出てすぐ、"今何してんの"とAちゃんにLINEを送る。
するとすぐ既読がついて、"コーヒーブレイク"と帰ってきた。
Aちゃんがナンパされていた(多分)姿を見てはや数時間。
今日の俺がどうだった、とかそんな感想を送ってくれることもなく。
"勝利おめでとうございます"という返信にまた不満を募らせた。
俺、結構活躍したよ?
調子良かったし。もっとなんかないの?
そんなことを思っているとどうにもこの感情を抑えきれなくなってきて。
"今から行く"とだけLINEを送って、足早にアパートを目指した。
.
「わ、お疲れ様です」
チャイムを押して、ドアが開いたと同時に勢いよく部屋の中へ入った。
会場で見た姿とは違い、パーカーに短パンという姿で、髪をお団子にまとめた彼女はびっくりした様子でこちらを見ている。
部屋にはコーヒーの匂いが充満していて、少し甘い匂いもした。
「…お邪魔します」
勝手に部屋に入ってソファに座ると、何やらよそよそしい様子のAちゃん。
コーヒーを俺の前に出して、ちょっと離れてソファに座った。
それがすごく気に食わなくて。
いつもなら、もっと近くで話してたはずなのに。
今日は離れた距離にいて、ちょっと気まずそうに下を向いて無言でコーヒーを飲んでいる。
無意味にブランケットをたたみ直したりして、キョロキョロと目だけ動かす様子が、なんか嫌で。
Aちゃんの腕をグッと引っ張って、俺のすぐ隣に移動させた。
「…ど、どうしたんですか?」
「どうって。なんかないの、言うこと」
あー、と気まずそうに俺と反対の方向に顔を向けるから。
何がそんなに気まずいの?
あの男となんかあったの?
あそこで出会ったばっかじゃないの?
俺を見にきてたんだよね?
ジワジワ
ジワジワ
嫌な気持ちで、嫉妬で、自分の心の中が侵食されている感じがした。
じっとAちゃんを見ていると、居た堪れなくなったのかついにAちゃんが口を開いた。
「あんまり、見ないで」
.
141人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時