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見に来て ページ32

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「試合?」


「そ」





練習後、一目散に家に帰ろうとする俺は、例の如くチームメイトからの揶揄を受けつつ車に乗り込んだ。



「ドライブしよう」と連絡したら二つ返事でOKしてくれたAちゃんを拾って、少し遠くのカフェに来てる。





頼んだホットコーヒーで舌を火傷しそうになっているAちゃんに、お礼は何がいいかと聞かれたから。





「試合、見に来てよ」






観客席にAちゃんがいるとこ想像すると、なんかすごいいい感じなんだよね。





「えー、でも私バレーボールわかんないですよ」




「何人でやるスポーツかも知らなかったしね」




「…し、知ってるし…大丈夫だし…」





7人だっけ?9人?13?と首を傾げ続けるお姉さん。



歯止めが効かなくなりそうなので、正解は教えてあげた。






「チケットってどう取るんですか?」



「いや、多分俺が用意できる分あるはずだから」





チームに言っとく、とコーヒーを一口啜ると、眉をひそめてじっとこっちを見つめるAちゃん。





「それ、コネ?」



「いやコネって程のもんでもないけどさ」



「だってほら、アーティストのライブとかでもいるじゃないですか…招待席!的な!」




「そんな大した事じゃないよ」




「嫌です。私自力でチケット取ります。


そういうところちゃんとしたいんで」




「どういうところ?」




「なんか…それって、他のファンの人に示しつかないと言うか。


ただでさえルールよくわかんなくて失礼なことしちゃうかもしれないのに……他の人がちゃんと自分チケット買ってるなら、私もそうします」





そう言うと、どこだチケット〜と言いながらあれこれスマホを操作し始めた。






なんかさ…やっぱ良いね。そういうとこ。







全部イタリア語だ〜と絶望的な顔をしているAちゃん。





その様子を見て、自然と笑顔になってしまう。






やっぱ、Aちゃんに応援して欲しい。










「貸して、イタリア語わかんないでしょ」


「わ、わかります!」


「ふーん、じゃあ手伝わなくていいんだ?」


「大丈夫!できるし」


「へ〜〜〜」







後日、悲しそうな顔で「手伝ってください」とお願いしに来たAちゃん。


"かっこいい石川さんが見たいからお願いします"と言わせて代わりにチケット取ってあげた。



顔真っ赤にしてたけど、強がった自分が悪いんだからね。





俺にすぐ頼らなかった罰です。







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誰?→←晴れ



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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時

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