好きな子 ページ30
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「わ〜いい匂い〜」
飯作るよ、と言うと最初は遠慮していたAちゃんだったけど、強引に俺の部屋のソファに座らせると大人しく膝を抱えて待っていた。
数日まともに胃に固形物が入っていないなら、優しいものがいいか、とスープを作ってみる。
自分のメニューはいつも通りで、同時進行で作ってみたけどなかなかいけるもんだね。
ブランケットにくるまってチャンネルを回しているAちゃんは、ニュース番組をじっと見てるみたい。
「…なんて言ってるかわかんの?」
「そりゃ〜ちょっとくらいわかりますよ〜?」
「ふーん、じゃあ今女の人なんて言った?」
「……世の中大変だね〜って?」
「他人事か」
そんな他人行儀なコメントするキャスター、すぐ降板しちゃうって。
面白くて笑っていると、彼女は口を尖らせながらまたニュース番組を見ている。
「はい、できたよ」
ダイニングテーブルに並べると、ソファーからひょこひょことAちゃんがやってきた。
「え、すごい」
「でしょ。はい座って」
席に座らせて、俺もその前の席に座る。
美味しそう、と感動している様子のAちゃんにスプーンを渡すと、「いただきます」と丁寧に挨拶をした。
「……」
「…どう?」
「天才」
「でしょ」
「シェフを呼んでください」
「目の前にいますよ〜」
キラキラと目を輝かせてスープを口にする彼女を見ていると、なんか自分はとてつもなく料理が上手いような気がしてきた。
あったまる〜と頬を緩ませているから、一安心。
「スープでよかった?」
「大満足です。石川さんは…さすがアスリート…」
「あんまレパートリーないし、バランスだけはしっかり考えてるけど」
すごい、と怪訝そうな顔をしながら俺が食べるところを見つめている。
「食べにくいんですけど」
「…そういうのって、やっぱり彼女さんや奥様がみなさん管理されてるものなんですか?」
「まあチームメイトとか、そうかな。俺はいないからさ」
「へ〜…」
「好きな子はいるけどね〜」
「へ、へ〜」
「スピスピ気持ちよさそ〜に寝る子でさ〜」
「……」
「夏目Aって言う「大丈夫です!もう!」
顔から火が出そうなくらい真っ赤な顔をしたAちゃん。
俺って、こんなこと言うタイプだっけ。
面白いし、いっか。
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時