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恥ずかしい ページ22

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ローテーブルの上で操作するスマホの画面には、"バレーボール男子 日本代表"の検索結果が表示されている。


「ふーん」と興味なさげに下へスクロールするAちゃん。




そしてその指は、ページの半分くらいのところで止まった。



何が書いてあるのかと見ると、Wikipedia記事の抜粋文とともに、俺の写真が掲載されていた。



ほー、そんな紹介文なんだ。

Wikipediaって便利だよね。







スマホに目を落としているAちゃんの表情は見えない。



俺もソファから床に降りて隣に座ってみる。


顔を覗き込むと、目をまんまるにしてフリーズしているお姉さん。







…めちゃめちゃ面白いんだけど。







「おーい。大丈夫?フリーズしてるよ〜」


「石川、祐希…?石川さんって、祐希?」


「そう。俺、石川祐希」


「だって、ジムトレーナーって…」


「別に俺肯定も否定もしてないし。勝手にAちゃんがそう思ってただけでしょ」





お、このシーンよく撮れてる。あ〜こっちはちょっとあれだな、体勢がな〜。



スマホの画面を勝手にスクロールしていると、「なにそれ」と不満感バリバリですと言わんばかりの声がする。




「知ってて、嘘ついてたんですか?」


「だから嘘じゃないって」


「だって、言ってくれたら、いいのに」


「自分から名乗るのも変だな〜って。"俺日本代表です"なんての、ダサいっしょ」


「でも〜〜〜〜……」




なにそれ…と弱々しい声で呟き、ローテーブルに顔を乗っけたAちゃん。



その反応、どう取ったらいい?




「……びっくりした?」



無言で頷くAちゃん。



「俺、バレーボールやってんだよね」



「はい」



「ジムトレーナーじゃない」



「はい…」



「今日も練習してきたし」



「………はい………」




「ちょっと、おーい大丈夫〜?」



ついにローテーブルにおでこをくっつけて下を向いてしまった。



毛の長い絨毯を小さい手でギュッと握り締め、足をパタパタさせている。




「プロのアスリートにジムトレーナーとか………言ってしまっていた…………恥ずかしすぎる………………」



爆発しそう、と暴れるAちゃん。見ると耳まで真っ赤。





いつも飄々として、何にも動じずニコニコしている彼女からは想像できない一面で、一気に自分の体温が上がるのがわかった。






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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時

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