本当のこと ページ21
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「へ〜。Aちゃん、ITとかネットとか超疎そうなのにね」
人は見かけによらないね〜と意地悪く言ってみせると、「意地悪言う人に出すコーヒーはない!」とカップごと奪われそうになる。
やめてやめて、結構この味気に入ったから。
「私流行に敏感ですからね。日本でも最新の音楽とか、聞いてたし、うん」
「へぇ〜〜〜〜」
「芸能人とか、スポーツ選手とか、歌手とか知ってるし。いっぱい」
「ほ〜〜〜〜〜〜〜」
「聞いてねぇな」
これだから石川さんは、とかブツブツ言ってるけどお姉さん、俺はスポーツ選手に入んないの?
一応、結構有名なほうだとは思ってたりするけど。お姉さん?
「好きなスポーツ選手は?」
「え〜〜〜〜っと〜〜〜……松岡修造?」
「珍しい角度の回答きた」
そこはイチローとかさ、本田圭佑とか、あるじゃん。
なんで松岡修造?
「じゃあ、バレーボールとかは?見ないの?」
「みっ、見ますよ。モチロン。流行りに敏感な若者だし」
「へぇ〜〜〜若者ねぇ」
「な、なんですか」
「じゃあ、バレーボールは何人でやるスポーツでしょう」
「………13?」
いや多いな。サッカーで11人だぞ。コート飽和するよ。
「Aちゃんがバレーボールに興味がないことは大変よくわかりました」
「…降参です」
空になった俺のマグカップを回収し、また新しいコーヒーを注いでくれた。
ありがとう、と受け取ると、今度はソファにもたれかかるようにして床に座ったAちゃん。
急に近くなった距離に、目のやり場に困ってしまう俺。
「でも、なんでバレーボール?石川さん好きなんですか?」
俺のことをジムトレーナーだと思っている君に、本当のことを伝えたらどうなるだろう。
ちょっとは、君の眼中に入ることができるようになる?
試合とか、ちょっとでも見にきてくれるようになる?
なんなら俺のユニフォームとか、着てくれちゃって。
その笑顔で、応援してくれる?
「……バレーボール男子 日本代表って調べてみて」
「え?ああ、はい」
Aちゃんがスマホを取り出し、Googleを立ち上げる。
検索窓にフリック入力する時間が、ちょっと長く感じられた。
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時