愛の告白 ページ20
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顔から火が出そうな俺。困ったように笑う彼女。
だからあの店員、なんか嬉しそうだったのか。
家族経営なのか、バックヤードにいた店員の父親らしき人物が出てきて、『男は度胸だ』とか訳のわからないことを言われた事も、今思い出した。
……やってしまった。
弁解するのもなんか変だし、かと言ってこの沈黙もなんか気まずいし。
グルグル頭の中で考えを巡らせていると、目の前にコーヒーが置かれた。
俺があたふたしている間に、チューリップは部屋の隅にある本棚の上に飾られている。
自分の分のマグカップを両手で包みながら、少し離れたところにあるダイニングテーブルの椅子にちょこんと座り、よろしければどうぞ、とAちゃん。
「イタリア人って、ロマンチスト?」
「いや、あれはそういう意味じゃなくてさ。ただほんとに綺麗で、似合うだろうな……って思ってその……」
あーもうダメ。今のも言わなくてよかったし。てかもう何を言っても自分の首を絞める気がする。
黙っているのが得策だと思い、いただきますも言わずコーヒーを口にした。
「花言葉って、素敵だけど。純粋な贈り物の障壁になりますよね〜」
素敵な花でも怖い意味があったりすると、なかなか渡せないですとちょっと悲しそうな目をする。
もうとにかくこの話題を終わらせたい。柄にもないことするんじゃなかった。
「でも、本当に嬉しいです。ありがとう」
花束を見ながら微笑む姿を見ると、ちゃんと喜んでくれてるんだと安心できた。
「石川さんとお付き合いする女性は幸せだろうな〜」
なんだよ、それ。
まるで自分はそうじゃないけど、みたいな言い方。
俺は君と会わないだけで、期待して、柄にもないことやって、落ち込んで、すんごいダサい事してんのにさ。
「…じゃあ、付き合う?」
なんてことも言えるはずなく。
適当に咳払いをして、またコーヒーを一口飲んだ。
いつも自分の家で飲んでるやつより美味しい。
「そういえば、なんでベンチ来なかったの」
「あー、ちょっと仕事頼まれて」
「仕事?IT系ってやつ?こっちでもやってんだね」
「まあ一応休職中なんですけどね、お金もらえるならやります。どこでもできるし」
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時