確信 ページ13
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やっばい。美味い。
体調不良の時のお粥が美味しいのか、それともこのお粥そのものが美味しいのか、人に作ってもらったから美味しいのか……。
全部だな。
毛布にくるまりながらお粥を食べる俺の目の前で、不思議そうにこっちを見つめている夏目さん。
「なに」
「いや、今の石川さん、弱そう。倒せそう」
仲良くなってわかったことがある。夏目Aは、小学生みたいなことを言う。
だって今もほら、小指でいけそう、とか言って腕をツンツンするフリをしている。
お粥を半分くらい食べたところで、また少し頭がクラクラした。
調子に乗って喋り過ぎた。
もう一度毛布にくるまり直すと、布団に行った方がいいですよと言われる。
「帰んの?」
「え?」
「俺が寝たら帰んの?」
「はい。帰りますよ。ほら、ベッド行って」
「じゃあ寝ない」
はあ〜〜〜?と呆れた顔をした夏目さんは、くすくすと笑い始める。
「子供か」
「帰んの?」
もう、なんなの、と笑う夏目さんの手が、おでこと首に当てられた。
「本当に熱いですから、ベッドに行ってください。相当しんどいでしょ?」
「まじでしんどい」
「伝わります」
渋々体を起こしてベッドに移動すると、ふわりと布団がかけられた。
「帰んの?」
「も〜うるさい!ほんとに石川さん?」
だってさ、心細いじゃん。
寒いし。頭痛いし。熱あるし。
「夏目さん」
「はあい」
「帰んないで」
「はいはい、帰りませんから。お邪魔してます」
「夏目さん」
「なあに」
「夏目ちゃんって呼んでい?」
「好きにして」
くすくすと笑う彼女。
「やっぱ、なっつーにする」
「はいはい」
「なつお」
「へいへい」
「やっぱ、
Aちゃんって呼ぶ」
心拍数が上がってるのは、熱のせい。
手汗をかいているのは、熱のせい。
彼女が反応するまでの時間が、すごく長く感じられた。
「はい、どうぞ」
また、くすくすと笑った彼女にホッとする。
「Aちゃん」
「はーい」
「Aちゃん」
「はいはい」
「Aちゃん」
「もー!なに!ほんとに石川さんか疑わしいよ」
ほんとに倒せちゃいそう、と笑って布団を直してくれる。
確信しちゃったわ、俺。
熱のせいかもしれない、いや、違う。
好きだわ。
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます( ; ; )更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです! (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yajirushi. | 作成日時:2024年3月3日 0時