夏の景観を買いました。 ページ9
「・・・暑い・・・」
審神者が縁側で倒れていれば、生ぬるい風が吹き頭上にある風鈴を鳴らす。空は雲ひとつない晴れ空だ。何故、こんな季節外れの気温がこの本丸を覆っているかと言うと、夏の景観を買ったからだ。
「もう少しで夏だから〜」といって意気揚々とその景観を買った審神者は深く後悔した。数珠丸が来ないうえにこんな暑さになるとは・・・思ってもみなかった。冬の景観を買おうとも悩んだのだが寒すぎる為却下。
ならばもうすぐ〜っと言う事で買ったのだが・・・。審神者は実に馬鹿であった。庭を見ていれば、元気に走りまわす短刀達とそれにまぎれる鶴丸国永。そして畑仕事をしている平野と御手杵。そして、部屋は・・・。
「・・・」
ぶぉおおおおっと音が鳴っている扇風機の前に居るまんば。夏に会わせて布を薄くしたからか、布が勢い良く風に乗って靡いているのだが、普段頭にかぶっている部分すら吹き飛んでいる。・・・布被っている意味が無い。
彼と扇風機を見てみると、審神者の顔に影が伸びる。すると「もう」と呆れた様な声が耳に届く。
「主、だらけてちゃ格好悪いよ？」
「厚いんだもん・・・」
のそり、のそりととても遅い動作で起きあがり、四つん這いの状態でまんばが居る部屋へと入って行けば、審神者に「格好悪い」と指摘をした燭台切光忠がそれにつられて部屋へと入る。
「スイカ、切って来たよ。二人の分」
「おー！みっちゃん愛してるよ！ありがとう！」
手渡された皿を受け取れば、大きく切られている方をまんばに渡せば、彼は軽く礼をして赤いスイカを食べ始める。彼は微笑みながらスイカを食べる二人を見ていると、自然に机に置いてある書類に目が移っていた。
「主、仕事はしっかりしなきゃダメだよ？」
「やってるよー！暑過ぎて仕事にならないだけ！」
「じゃあなんでこの景観を買ったんだ」
３万の小判を犠牲にして・・・まんばがそう言えば審神者は「ごもっともです」と苦笑いを零す。だが・・・。
「鶴丸さん！！待って下さい！」
「っははは！此処まで付いて来てみろ！」
庭を楽しそうに走っている秋田と鶴丸を見ると、その場に居る３人の口元が綻ぶ。まぁ、楽しくこの夏を過ごしている人が居るのならば特に文句は無い。
---
風鈴に触ると音が鳴るのは実に細かいですな！(笑)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：六芒星玲音 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b0e1f9605015/
作成日時：2016年4月27日 15時
