【HQ!!】Q,｢女子との接し方｣とは

接し方No.12 ページ13

今にも閉じそうな瞼を必死に手でこじ開ける
今の私の顔はなんかヤバイ感じの人になってるだろう｡まぁ気にしない


見渡せばちらほらと朝練がある運動部の姿が
あら、やだ人とすれ違っちゃったわ


右手を瞼から離し、去年頑張って貯めて買ったちょっとお高めの腕時計を見る
AM5時

私だって、頑張るのよ



｢にしたって早すぎたかな｣



とは言ってみたものの、今は桜が散って少しずつ夏の気配が感じられる時期
朝日はもう出始めていて、私の顔を思いっきり照らしている

ちょっと眩しいじゃない！
と大声で愚痴ってみるも、『うるせぇ！』という瀬見の声は聞こえてこない
何せバレー部の皆は寮に毎日いるんだもの

瀬見は昨日、家に学校指定のジャージを忘れたから一旦家に帰ったらしい

別に私は寮に泊まる必要なんて無いからね



｢佐久早に会ったら飛び蹴りしてやろう｣



佐久早は悪くないけどね

寂しいなんて私に見合わない言葉を払いのけるように、ブツブツと独り言をこぼす

ホテルのような校舎を抜け、無駄にでかい体育館の中へ入る
せっせとボール、ボトルかご、ゼッケンを部室から取り出し、顧問やコーチの座る椅子を各コートに置いていく


すると、ざわざわと宿舎の方から騒がしい声が聞こえてきた

1番に体育館に入ってきたのはやっぱり工



｢俺が1番です！｣

｢残念私が1番だ｣

｢ファ!?｣



明らかに『そんな……!?まさか……!?』みたいな顔をしている工

その顔は心外ね

その後にぞろぞろと揃い始めた部員共に『ネット張りは頼んだ』と言い残し、ドリンクを作りに水道へ向かう



｢おはようA｣



聞き慣れたふてぶてしい挨拶



｢あらイケメンが台無しの寝起き顔ね瀬見｣



そう言えば、もっとイケメンが台無しの顔をする

今になれば、昨日の幻聴はもう既に頭の中には残っていなかった

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