112錠 ページ23
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受付で事情を説明し終え、病室へと向かう。
訪れたことのない広い病院の中でも、足は迷いを見せずに少し早くなるのが分かった。
無事だと分かっていても
顔を見ないうちは不安でしかないのだ。
｢…失礼します｣
ちょっと緊張しながら扉を開くと、見知った顔が3人。
緑谷くん、轟くん、そして飯田くん。
はじめの2人は想像通りだったけど、最後の彼はあまりにも意外すぎる人だ。
3人共私の顔を見て少し驚いている。
…それはこっちの反応なんだけど。
｢えっ、薬師神さん！？な、なんで…！｣
｢轟くんの荷物を届けに来ました｣
苦笑を浮かべ そう説明すると、オーバーなほどの反応を見せた緑谷くんは「あぁ、そっか」と呟いて、すぐに納得した表情に変わった。
｢悪い、助かった｣
｢いえ、皆さんが生きててよかったです…｣
｢大袈裟だな｣
3人の顔が見られただけで心が一気に落ち着いた。
ひと安心したところで 轟くんに荷物を手渡した瞬間、何故か手を掴まれた。
包帯を巻いている方で触れられて、反射的に振り切ることも出来ずに 私はぽかんとそれを見つめるだけ。
｢あ、あの……轟くん？｣
｢…薬師神も、｣
｢…はい？｣
何やら深刻そうな顔をしている。どうしちゃったんだろう。
手のひらを撫でられて、くすぐったい。
｢あぁ…さっき言ってたアレか｣
｢アレ…とは？｣
緑谷くんが可笑しそうに苦笑するので、手を掴まれたまま 尋ねる。
何でもないような顔をしているけれど、皆に巻きついてる包帯は痛々しかった。思わず苦い顔になる。
しかし、飯田くんが次に発した言葉に
私は表情を呆然の2文字に染めることとなった。
｢はっ…ハンドクラッシャー…？｣
｢笑い事じゃねえ。お前も火傷しただろ｣
｢や、それは……ふふっ｣
轟くんのせいじゃないのに、どうしてそんなに思いつめているのだろうか。
冗談じゃなく本気で言っているのだから余計に面白い。
もう治ってるから大丈夫だと伝えれば
不服そうな顔をしながらも手を離される。
一頻り笑って、今日はもう活動もないので しばらく病室で過ごすことに決めた。
話をしているうちに分かったこと。
飯田くんの腕には、後遺症が残るらしい。
個性に直接的な支障をきたすわけでもないのが幸いだったと思う。
憎しみが自らの身体を傷つけてしまうなんて、ひどく 悲しいことだ。
家族が敵に襲われた彼の話は、妙に自分の内側に響いて、なんだか涙が出そうになった。
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しおり(プロフ) - 凄く面白かったです！ (2020年5月9日 10時) (
レス) id: 88ef928d1d (このIDを非表示/違反報告)
霊夢(プロフ) - 爆豪勝己の方のパスワードおしえてください！！！(☆´_ _)ﾍﾟｺﾘ (2019年5月16日 21時) (レス) id: 28399f0f04 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 続き楽しみです！ (2018年1月20日 19時) (レス) id: ea150721a5 (このIDを非表示/違反報告)
しの(プロフ) - あやりずさん» ありがとうございます…！！(；；)亀更新ではありますが、完結まで楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2017年12月29日 11時) (レス) id: 98425ad901 (このIDを非表示/違反報告)
あやりず(プロフ) - 面白いです！！轟くん大好きなので…wこれからも更新頑張ってください〜！ (2017年12月28日 22時) (レス) id: 701a0aacb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しの | 作成日時：2017年10月13日 20時
