第一話 ページ2
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運が悪いとしか言いようがなかった。
腹から捻りっぱなしの蛇口のように流れていく血。徐々に体温が奪われていく感覚がする。あぁ、死ぬんだなと現状を冷たく理解する。高校二年生。死ぬにしては早すぎる人生だった。
神様に嫌われてんのかなぁ、なんて自嘲するように笑った。雨に打たれながら、俺は静かに目を閉じる。
『…は?』
目を開けると、見知らぬ竿縁天井。身体は熱を帯びていて鉛のように重い。額にはぬるくなったタオルが当てがわれている。
どこだ、ここは。俺は死んだんじゃないのか。ぐるぐる思考が回るとともに眩暈がした。息ができないぐらい咳が出る。それに呼応するかのようにどたどた慌ただしい足音が近づいてくる。
「A!」
蜻蛉柄の着物を着た、外国人のように色素の薄い少年が俺に近づく。大丈夫か?と俺の髪をかき分けて額に触れる。吸い込まれそうなほどの青目が綺麗だ。
いや待て、そこじゃない。
そろそろと白髪の少年と目を合わせる。声も顔も子供らしさが残るが、間違いないだろう。
『…悟、兄様?』
「ん?どうした、やっぱりしんどいか」
あぁ、間違いない。こいつは、五条悟だ。
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作者名:霜凪 | 作成日時:2024年2月7日 23時