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覗く ページ25

お昼休みは昼食を食べて息を抜く時間。
1日の折り返しで、気合を入れ直す時間。


そんな時に、胡蝶先生が慌てた様子で職員室に駆け込んできた。

「砂川先生、大変よ!」

『な、なんですか?』

私、なんかしちゃったっけ?

「宇髄先生が告白されるかもしれないのよ!」


『はぁ…それで?』

「なんでそんなに関心が薄いのよ!」

関心も何も、別に驚くほどのことでもないし自由じゃん。
告白するのは大方生徒だろうし、それなら流石に宇髄先生だって応じないはず…多分。

「もし付き合っちゃったらどうするのよ!」

『知りませんよー』

早くご飯食べたいのに…


『私があの人に構う理由ないですから。変な勘違いしないでください』

「…こじれてるのねぇ」

『いや、だから』

胡蝶先生はため息をついて、私の腕を取った。
待って、力強くないですか…!?

しかも告白現場に乗り込む気じゃ…

『胡蝶先生、ほっといてあげましょうって!』

「別に止めないわ。見届けるだけよ」

廊下をぐいぐい引っ張られて歩く。

お淑やかな胡蝶先生らしからぬ荒療治だ。

すると、



「宇髄先生が好きです!」

…わ、本当に告白だ。
胡蝶先生は神妙な顔をして立ち止まる。

「扉を開けているなんて不用心ね。
けど、盗み聞きしやすいわ」


…いったい何がこの人をここまで駆り立てるのだろう。


教室の中を伺う。
美術室の隣の、準備室だ。ここなら滅多に誰も来ないだろう。

「だから、私と付き合ってほしくて…」

真剣な顔の女子生徒が見え、胸が痛む。

『…そんな男、やめといた方がいいって』

宇髄先生は…いるけど、角度的に後ろ姿しか見えない。

「いや、先生そういうのはちょっと…ごめんな」

あっさり振られて女子生徒の顔が歪む。
目を覆いたくなる。

でも、それでいいんだよ。あの男は駄目だと思う。


けれど生徒は諦めが悪かった。

「その…早まったとは思うんです。だから、卒業したら…」

「そういうことじゃねぇよ」

「私が子供だからですか…?私、頑張りますから」

胡蝶先生も哀れむような顔をしていた。
いい光景ではなかった。

「お前がどうこうじゃない。とにかく駄目だ」

「どういうことですか…?彼女いないんでしょ?」

「彼女はいないけどな…俺な、好きな人がいるんだよ」

変な感じがした。

使い古されたような言い訳も、
好きな人、という幼稚な言い回しも、

寂しそうな声色も、彼には全部不釣り合いだったから。

毒吐く→←出逢う



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いのり(プロフ) - ゆんさん» 気に入っていただけたようで嬉しいですっっ( ; ; )応援ありがとうございます、頑張ります!! (2022年2月10日 15時) (レス) id: 13648d0b87 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - めっちゃ好きです、この歪んだ宇髄さん……前から拝読しておりましたが、好みすぎてコメントしちゃいました(笑)これからも無理のない範囲で更新頑張ってください♪楽しみにしています😌 (2022年2月8日 7時) (レス) id: 45bbc3e57c (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - *カスミソウ*さん» ありがとうございます♪ここからも拗れまくります!ぜひお付き合いくださいー!! (2022年2月2日 6時) (レス) id: 13648d0b87 (このIDを非表示/違反報告)
*カスミソウ*(プロフ) - 読ませていただきました!なんともいえない2人の関係にきゅんとしながら見ております!とっても面白かったです!次の更新も楽しみにしております(*^^*) (2022年1月29日 11時) (レス) @page34 id: b38fa73fcf (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - まっひーさん» かっこいいの分かります(*´꒳`*)コメントありがとうございます! (2021年12月26日 12時) (レス) id: 14af0b5718 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いのり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年8月31日 6時

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