検索窓
今日:21 hit、昨日:2 hit、合計:15,523 hit

帰す ページ16

『…嘘、帰らない気?』

「だって夜道怖えじゃん」


帰らないってつまり、泊まるってことじゃん。
それは絶望だ。

『あんたみたいな屈強な男が何言ってんの』

「おいおい、屈強な男が夜道怖くないとか地味に偏見。差別反対!」

ああ言えばこう言う…!ムカつく!

「いいだろ別に、明日は学校行かねえんだろ。
朝になるまでここに置いてくれたらいいんだよ」

『それを泊めるって言うの!』

「昔はこんなこと日常茶飯事だっただろ」

『いや、流石にそんな乱れてない』

たまにはあったけどさ。

『あれは、私たちが付き合ってるって勘違いしてた親が勝手に泊めてただけです』

「勘違いってなんだよ」

『勘違いだよ』

「勘違いじゃねえよ」


…思ってもないくせに。
あんな関係の、どこが付き合ってたって言えるんだ。

『分かった。タクシー呼んであげる。お金も私が出す』

「は」

『夜道が怖いならそれでいいでしょ?だからもう帰って』

携帯を手に取った。

「おい、待て」

宇髄くんは私の手首を掴む。
少し、焦っているみたいだ。

「…急に言って悪かったよ。今日は一人で帰る」

『…うん』

初めからそうすればいいんだよ。全く。

でも宇髄くんは、思った以上に大丈夫じゃない。そんな顔だ。
やめてくれないかな、私も不安になるから。


「…後悔、してんのか」

『え?』

「いや、じゃあまた月曜な」

宇髄くんは振り返らずに帰っていった。
…なんなんだ。



確かに私と宇髄くんは近しい間柄だったけれど
あれは彼にとっては遊びだと思っている。
私は、遊ばれていただけなんだろうって。

その時は遊びでもいいやなんて思っていた。

無駄に生真面目だった私は、そういう悪いことをしてみたかったのかもしれない。

それまでも、それからも
至って普通に、生きてきたけれど。

宇髄くんが居たところだけ、私の人生は歪んでいる。

狂っている。



だから、もう関わりたくなかったのに。

狂う→←食す



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
46人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いのり(プロフ) - ゆんさん» 気に入っていただけたようで嬉しいですっっ( ; ; )応援ありがとうございます、頑張ります!! (2022年2月10日 15時) (レス) id: 13648d0b87 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - めっちゃ好きです、この歪んだ宇髄さん……前から拝読しておりましたが、好みすぎてコメントしちゃいました(笑)これからも無理のない範囲で更新頑張ってください♪楽しみにしています😌 (2022年2月8日 7時) (レス) id: 45bbc3e57c (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - *カスミソウ*さん» ありがとうございます♪ここからも拗れまくります!ぜひお付き合いくださいー!! (2022年2月2日 6時) (レス) id: 13648d0b87 (このIDを非表示/違反報告)
*カスミソウ*(プロフ) - 読ませていただきました!なんともいえない2人の関係にきゅんとしながら見ております!とっても面白かったです!次の更新も楽しみにしております(*^^*) (2022年1月29日 11時) (レス) @page34 id: b38fa73fcf (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - まっひーさん» かっこいいの分かります(*´꒳`*)コメントありがとうございます! (2021年12月26日 12時) (レス) id: 14af0b5718 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いのり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年8月31日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。