冨岡さん、人違いです！【鬼滅の刃】

昼食 ページ9

「お疲れ様だ」

『ありがとう』

勝利打者になってしまった私は、一躍子供たちのヒーローに。
またやろうぜ！とか言われたが…勘弁してほしい。

「膝はどうだ」

『痛い』

ボールを追いかけてたら転んだ。何もないところで足がもつれて。
普通にダサかったなぁ。

「…」

絵に描いたような典型的なドヤ顔で冨岡さんは絆創膏を掲げた。

『すご、持ち歩いてるの』

「…」

文章じゃ伝わらないこのドヤ具合。見せたいです。
え、消毒液まで持ってる。なんというマメさ。

「座ってくれ」

『自分でやるよ』

ロングスカートの裾にかかっていた手を払いのける。
デリカシーは無いのか！

『あんなに走ったの何年ぶりだろ』

「そんな感じの走りだった」

『馬鹿にしてるよね』

消毒液がしみる。痛い。

「そんなことはない。
どんなことも全力を出せるんだな。好感が持てる」

少しだけ笑ってこちらを見下ろす冨岡さん。

『そりゃどうも』

普通に嬉しいもんだね。

「腹が減ったな」

『うん』

「…柏原さん、タコは好きか」

『え？』

冨岡さんは引越し祝いにタコを1匹もらったらしく
困っているようだ。

「どう食べればいいと思う」

『やっぱりたこ焼きだよ〜私大好き』

「なるほど、悪くない。ただ機械がない」

『持ってるよ。貸してあげよっか』


ということでたこ焼きパーティーをすることになってしまった。
なんてスムーズな話の流れ。

私もたこ焼き機使いたかったからね、いいんだけどさ
ひとりでたこ焼き焼くとかなかなか虚しいし。

『うわ、ほんとにタコまるまる。凄いね』

「あぁ。漁師の知り合いがいて」

友達もちゃんといるんだね、安心した。

『じゃ、私切るから。冨岡さん生地つくってよ』

「承知」

警戒心がないと言われれば仕方ないかもしれないが
ご近所付き合いも大事ですからね、はい。

『ねぎとかある？』

「あぁ」

それから冨岡さんが出してきたのは紅しょうがにチーズにキムチ。

『いいねいいね』

よかったな、ずっと押し入れの奥に眠っていたたこ焼き機。
やっとおまえを使ってやるからね。

『できたー？』

「あぁ」

『こぼしすぎ…まぁいいや、さっそく焼こうよ』

あぁ、わくわくしちゃってるよ私。

せっかくやるんだったら他にも誰か誘えば良かったね。

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