冨岡さん、人違いです！【鬼滅の刃】

追われて ページ3

「待って、待ってくれ」

『嫌です！待ちません！』

冨岡さんは思った以上にしつこい。
普通、昔の知り合いにそんな執着見せないだろう。元カノでもあるまいし。

これ、家まで来られるんじゃ…


『あ、あのっ、もう警察呼びますよ！』

振り向いて叫ぶ。
冨岡さんは立ち尽くし、まだ私をまっすぐに見ている。

「…」

なんとなく悪い人じゃないとは思う。
ただ、そんな感覚を信じてどうする。そんな平和な社会じゃない。
人を見れば泥棒だと思え、という世の中だ。


「ひとつだけ、覚えている」

あぁ、またその顔だ。
私がいなきゃ死ぬ、みたいなそういう顔。

なんなんだろう。

「俺はお前を護らなければならない」

『…何、言ってるんですか』

理解ができない。
護れるものなら護ってほしいよ、こうして追ってくる男から。

「時間がほしい。必ず思い出す」

『それで私はどうなるんですか』

きっと私に良いことなんて何もないじゃないか。
そういうことは勝手にしてほしい。

『もうやめてください』

踵を返して、また走る。
本気で通報しようかと携帯を出したが、冨岡さんはもう追ってくる気配を見せなかった。





『…はあ』

どうしよう、寝付けない。
きっとあの男のせいだ。とても気味が悪い。

なんとなく、これで終わりそうな気がしなかった。

寝て起きたら、夢だったってことにならないかなぁ。

そんなありもしない淡い期待を持って、目を閉じる。


…そういえば冨岡義勇って、どこかで聞いたことがある。

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