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きっと来る ページ26

「夜分遅くに訪ねるのは悪いから…」

『電話も同じことだけどね』

ただいま夜12時。日付がちょうど変わったくらい。
冨岡さんから着信があった。

「申し訳ない…だが一人は駄目だ。一人は駄目だと思う」

冨岡さんにしてはかなり珍しい取り乱しようだ。

『さては、4D貞子地上波初放送観たんでしょ』

「その通りだ…4Dはまずい」

家で観る4Dって何?
テレビから水でも出るのか?…怖いな。

『はぁ…来る?』

「いいのか?」

『同じことだって。別にいい…』

ピンポーン

はやっ。

ドアを開けると冨岡さんが転がり込んできた。
背後に貞子がいるのではないかというくらいの勢いだった。

『顔真っ青じゃん、大丈夫…?』

「あぁ、柏原さんの顔を見て少し落ち着いた」

『はいはい。よかったね…』

また電話の音が鳴る。
私はホラー映画も何も観てはいないが、この時間に電話来るって結構怖いよ。

そして冨岡さんは飛び跳ねて驚く。というかビビってる。

「な、なんでこんな時間に」

『さっき冨岡さんもかけたでしょ…』

固定電話だから誰か分からない。
恐る恐る受話器を取ると、

「あっ、A!A〜!!」

受話器に顔を寄せていた冨岡さんが目を見開く。
いきなり絶叫が聞こえたので呪いの電話とでも思ったかもしれない。

「貞子が!貞子が出るんだよお!助けてええ!!」

『…落ち着いて、善逸』

なんで苦手なくせに観るかなぁ。

「駄目だよ、俺もう呪い殺されるよ!だってずっとなんか気配するもん!なんか居る気がする!ギャアアアアアア!」

耳がキーンってなった。
冨岡さんも露骨に嫌な顔。

『近所迷惑だから!やめて!家来る?』

「…え、いいの」

『外に出るの怖くないなら…』

善逸はしばらく黙り込んだ。

「…うん、行く!」

一人ぼっちで夜を過ごす恐怖に比べれば、外に出る数十分の恐怖の方がマシだと思ったんだろう。

善逸、車持ってるし。

『じゃ、気をつけてね』

「そんなこと言わないでよぉ!」

名残惜しそうに電話が切れた。
冨岡さんと顔を見合わせて苦笑する。

『…ということなんで』

「あぁ、分かった」

さて、賑やかな夜になりそうだ。

恐怖の夜→←姉心



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いのり(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 最後まで読んでくださってありがとうございます!締めが善逸くんですいません(笑)これからも夢主ちゃんをよろしく頼みます!よかったら他の作品も応援お願いしますね! (2021年11月6日 20時) (レス) id: c234760d5a (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 我妻…、(何でお前が最後で締めるんだ…)?完結おめでとう…。次は、誰の書くんだ…?良かったぞ。これからも夢主と仲良くするつもりだ。冨岡義勇だ。これからも頑張ってくれ。 (2021年11月6日 15時) (レス) @page42 id: e9e5935c56 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - なんて言う悲しい匂いだ…。本当に人違いですかね?俺の鼻は人違いでは無いって言ってます。竈門炭治郎です。続き楽しみにしています。 (2021年10月20日 7時) (レス) @page32 id: 38350d71b2 (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - 釜さん» ありがとうございます!とても励みになります♪これからも応援いただけると嬉しいです! (2021年9月18日 8時) (レス) id: c234760d5a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こんばんは!ほんわかしたお話で、描写も綺麗で好きです! (2021年9月17日 21時) (レス) id: e08aae1730 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いのり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年8月13日 20時

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