うちの兄貴と居候【煉獄杏寿郎】【宇髄天元】

食べ盛り ページ4

「…うまい！」

ひ、びっくりした。
声でかいんだよ煉獄くん。

「うまい！…うまい！」

「派手に良い食いっぷりだな！」

『そんなに美味しかった？』

「あぁ！…おかわり！」

にこーっとお茶碗を出す煉獄くん。

『…自分で入れて』

「分かった！」

兄ちゃんの方を見ると嬉しそうにしている。
何笑ってるんだ。

「俺の妹の料理は世界一だからな」

「素晴らしいな。俺も頼まれればいつでも作ろう！
…おかわり！」

居候、三杯目にはそっと出し

なんて言葉が脳裏をよぎるが…ノリノリでご飯をつぎに行くじゃないかこの居候。

『兄ちゃん…』

「いや〜ここまで美味そうに食ってくれたら作った甲斐があるってもんだな」

なんだこの兄貴、呑気すぎるだろ。

『煉獄くんも、もうちょっと遠慮しなさいよ』

「ん？ふはない！へんほふう！」

『口にものを入れて喋るな。
…ごちそうさま』

「もう良いのかよ」

『なんか疲れた。今日は食欲ない』

「それは駄目だ、疲れた時ほど食事は必要なんだ。
食べるということは生命活動だ、Aさん」

『もういいから。風呂入って寝てくる』

「おう…」

今になって状況の異様さに気づいてきた。何だろうこれ。
あぁもう、考えるだけ無駄だしお風呂に入ろう。

「Aさん、Aさーん」

お風呂場の扉越しに呼びかける声。

『…何』

「あぁ、よかった。さっきから何も聞こえないから何かあったのかと」

『そんなに気にかけなくてもいいよ…もう今日はそっとしといてくれない？』

「うむ！」

元気のいい返事で立ち去る。
ちょうどお風呂で寝かけていたから助かった。


ーーーーーーー

『妹さんは俺を煩わしく思っているような気がする』

「間違っちゃねぇと思うけど…でもあいつ、基本お前みたいなやつ好きだからよ」

俺みたいなやつ、とは。

『しかし、そっとしておいてくれと言われた。もう関わるなということだろうか』

「あー、まぁ今日はほっといてやれよ」

天元さんは確かに呑気すぎる気がする。
何もおおごとに思っていないような。

しかしそこに紛れもない自信があるようにも見えるので謎の安心感があるのも確かだ。

「煉獄ちゃん、俺の部屋で寝るだろ。布団出すわ」

『ありがとう！』

ーーーーーーー

『ふー、生き返った』

タオルを取ろうとすると、冷えた麦茶と紙が置いてある。

『「みそ汁が特に美味かったです」ってねぇ…』


手書きの文字と冷たいお茶は思った以上に疲れた体に沁みた。

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