うちの兄貴と居候【煉獄杏寿郎】【宇髄天元】

いざ初仕事 ページ3

『家事と言っても、何ができるのかな？』

「掃除に炊事に洗濯、虫退治も朝起こす係も、失くした爪切りを探すのもなんでも頼ってほしい！」

「マジかよ。じゃあトランプのハートの2探して欲しいんだけど」

いやあれは絶対見つかんないって。予備のカード使ったじゃん。

「承知した！」

すごいな君。

『じゃあ私の部屋の掃除も頼めるってこと？』

「もちろんだ！えと…」

『Aでいいよ』


というわけで、煉獄くんに部屋の清掃を任せた。

『いや〜こうしててもお部屋が片付いてるなんて』

私は片付けが大の苦手。
兄は綺麗好きだから理解しがたいらしいけど。

「てか、自分の部屋漁られててもいいのかよ」

『…あああああ！』

ばたばたっ

自室に飛び込むと煉獄くんがせっせと私の机の上を綺麗にしている。
そっちはちょっと！

「Aさん、どうかしただろうか」

『ううん！ごめんこっち片付けて！』

「分かった！」

『…あっ、待ってちょっとタンマ！』

「り、了解！」

私物をいろいろ触られヒヤヒヤした。
いや、見られて困るものとかはないよ？…多分。

『片付け終わったね、ありがとう』

「途中からほとんどAさんが片付けていたような気もするが…
俺に至らないところがあっただろうか」

眉を下げる彼。なんか犬みたい。

『全然！ほんとに助かったよ』

うーん、本当にただのお人好しみたいだ。しかも働き者だし。

『じゃあ、私部屋で過ごすから』

「うむ、ゆっくりしてくれ！」


はぁ、なんか気疲れした。
そりゃそうか。いきなり知らん人と住むことになったら。

『あーもう疲れたよー』

すると部屋の扉をノックする音。

煉獄くんだな。兄ちゃんは声で呼ぶしノブがちゃがちゃ言わすし。

『何？』

「何か飲み物はいらないかと思って。お茶とジュースと冷水」

『冷水って水道水じゃん。じゃあジュースで』

小さなパックのジュースを受け取ってドアを閉めようとする、が
煉獄くんが体をねじ込んできた。

「疲れているのか？」

『まぁ』

君のおかげでね。

「マッサージでもどうだろうか。得意なんだ」

何かしたくてしょうがない、という笑顔。

『う、うん。お願い』

また押し負けてうつぶせになってしまう。
痛かったら言ってほしい、と言われる間もなく

『いだだだだだ！』

「父は喜ぶのだが…」

『貴方のお父上どうなってるの』

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