うちの兄貴と居候【煉獄杏寿郎】【宇髄天元】

ようこそ煉獄くん ページ2

「煉獄くんはな、地味に大変だったんだよ。ついこの前上京してきてな」

「身寄りがないんだ」

『…え？兄ちゃんこの人道端で拾ってきたの？
2人初対面？』

顔を見合わせて同時にうなずく。

「無一文なんだよな」

「そうだ！」

胸を張って言うな。

『バンドマンでもしてらっしゃるんですか』

「いや、初めはそこそこ生活もできたのだが…
まず友人の借金の連帯保証人になって」

何その漫画みたいな話。

『実家に帰るとかないんですか』

「こんな不甲斐ない姿を見せるわけにはいかない。あと帰る金もない」

「可哀想だろ、な」

すっかり意気投合しているみたい。
さっきまでぼろ雑巾のようだったから風呂に入れて洗ってやったと言う。
本当に捨て犬でも拾ったつもりなんだろうか。

「小綺麗にしたらお前なかなか派手にいい男じゃねぇか」

『確かに、顔は綺麗』

キリッとした顔立ちに人懐っこい表情。
容易にイケメンと呼ばれる部類には入るだろう。

「そうだろうか！君たちも兄妹揃って美形だと思う！」

『そんなことないけど〜…そう見える？』

「な、話が分かるだろこいつ！」

うん、割と良い人かもしれない。

『…いやいやいや、でもそれって養うってことでしょ？
ペットじゃないんだから、私たちだってそんなに余裕は…』

ないことはないか。ふたりとも働いてるし、実を言うとそんなに生活には困っていない。

「ペットほど手はかからないし、家の手伝いでもなんでもしよう！」

「そうそう、こいつ家事やってくれるらしいぜ」

『ほんと？』

それは魅力的。
悠々自適の二人暮らしをはじめた私たちにとって、家事はなかなか手強かったから

できないわけではないのだが、とにかくめんどくさい。

「ただで世話になるわけにはいかない。俺にできることならなんでもしよう」

『…じゃあ』

しまった、煉獄くんのはなつキラキラオーラにやられて許可を出すところだった。
冷静で適正な判断を下すんだ私！

『…とりあえず今日だけは泊めてあげる』

「ありがとう！」

「さすが俺の妹、話が分かるぜ」

屈してしまった…

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