回想-執着 ページ10
ひょんなことから芽生えた、嫉妬かなんだかよく分からない感情は、たぶんとってもつまらないものだったと思う。
それなのに、一度考え出すと気になって仕方なかった。
私ももっと話したいのにな。
今日は別の人と帰るんだな。
趣味が合うのは私だけじゃないんだな。
『…はぁ、私めんどくさ』
こんなこと考えてるって知ったら、なんて思うかな。
「津城」
『不死川くん』
「靴紐、解けてんぞ」
『あ、りがとう』
不死川くんが声をかけてくれると、沈んだ気持ちが少しだけ軽くなった。
多分気が紛れただけだ。
「お前、よく笑うようになったよなァ」
顔を覗き込まれてちょっと恥ずかしい。
『そう?』
それは不死川くんの方では、と言うのはやめた。
「最初はオドオドしてたからビビられてんのかと思った」
『人見知りなだけだよ』
「そうかァ…俺はこの見た目だから、人が寄り付かねェだろ」
『そんなことない』
「津城ほど話せる奴なかなかいねェ」
『ほんと?』
ずい、と詰め寄る私に驚く不死川くん。
『…あ、ごめん』
「こんな嘘つかねェよ」
ああ、今日も不死川くんの笑顔が眩しい。
鬱々とした気持ちは完全に無くなって、ただ眩しい!と心の中で叫んでいる。我ながら馬鹿みたいだ。
けど、胸が痛いな。なんでだろう。
「改めて言うことでもねぇよな、柄じゃねェ…忘れろ」
『ふふ、どうしようかな』
「忘れろォ」
駄目だなあ、最近変なことばっかり考えるようになってる。
こういう時は音楽を聴くに限る、と思ったが彼のことを思い出してしまうからやめた。
いや、思い出したって構わないんだけど考えすぎちゃ駄目だと内なる私が告げていた。
寝よう寝よう。
昼だけどベッドに乗った。
しかし、こんなときに限って
『わー不死川くんからLINEだ…』
嬉しいような嬉しくないような。
しかし、文面を見た途端複雑な気持ちは全て飛んだ。
『こ、これ…!』
観たかった映画のお誘いだった
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