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回想-家族の話 ページ6

実弥の家はなんとなく知ってた。

そこそこ、というかけっこう近くて
不死川という珍しい名字の表札を見て分からないはずがなかった。

あと、なんだか賑やかだ。大家族なんだなあ。

とりあえず、どこに行く途中か忘れたが実弥の家の前を通ったとき、
いちばん歳の違い弟くんを見かけたのだ。

いってきまーすと元気に出てきた弟くん。
でかい。実弥も相当高いが負けてないんじゃないの。
そしてモヒカン。

たしか高校生だっけ、最近の高校生はすごいなぁ…

「…?」

しまった、ついまじまじと見てしまった。
あっちは私のこと何も知らないのに。

当時名前を知らない私は彼をモヒカン君と呼んでいた気がする。


『そうそう、こーんな髪型で、こーんな大きい子
本当に高校生なの?』

「確かに、ついこの前まであんなにちっちゃかったのが高校生なんて信じらんねぇよなァ」

『そういうことじゃない』

モヒカン君は玄弥くんという名前で、
実弥にうさごえもんを渡した張本人。
あの子がうさぎを兄に押し付ける光景…微笑ましい。

「津城は一人っ子なのかァ」

『うん。だから羨ましいな』

「うるせぇけどな、毎日退屈はしねェよ」

いいなぁ、来世は不死川くんに成り代わってやる。
とか言ったような言ってないような。

『…よかったらさ、弟くん妹ちゃんたちと会ってみたいな
ちっちゃい子好きなんだ』

「構わねェけど、どいつもこいつも生意気だぜ」

『いいの?やった!ありがとう不死川くん!』

最近疲れているから癒されたい。
あわよくばお姉ちゃんとか呼ばれたい。

「だったら家来るかァ?いちばん手っ取り早いよな」

『わ、本当にいいんですか…じゃあ都合良い日教えてよ!』

今思うとこういうところも実弥は律儀すぎる。
冷静に考えて私は、ちょっと話すだけの仲なのに弟妹に会ってみたいとか言う半分不審者みたいなものだ。
誰がわざわざ家まで招くんだ、律儀というか心配にすらなる。


そしてその日の夜、

『…私なんであんなこと言ったんだろう』

当時の私は単身で男の人の家に乗り込むという珍しいことに萎縮し、ひとり布団で震えていた。

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作者名:いのり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年6月7日 19時

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