検索窓
今日:15 hit、昨日:29 hit、合計:9,757 hit

こたえ ページ41

バス停で会った。

実弥がここに来るなんていつぶりだろうか。

『おはよー』

「はよ」

あぁ、そわそわする。
期待しすぎたらあとが怖いから何も言わないけど。

「…A」

『ん?』

実弥は首をほとんど動かさず目だけで私を見た。

「手、出せ」

『はい』

右手を差し出す。

「そっちじゃねェ」

いったいなんなんだ、と逆の手を出した。

「言葉にすんのはどうも苦手でよ」

そう言って手を動かす実弥。

「案外合うもんだなァ」

『…ん?』

左手の薬指に、光る物があった。

『これ』

「や、これは適当に家から持ってきた安物だからよ…
ちゃんとしたやつは、また今度一緒に、な」

ちゃんとしたやつって…
どうしよう、私の勘違いじゃないよね。

『えっ、ごめんごめん。いやごめんって意味じゃなくて!』

「落ち着け」

落ち着くなんてできるだろうか。夢でも見てるんじゃないかとすら思うのに。

私の左手を、するっと実弥が撫でた。

「…こんな小さい手ぇしてたかァ」

私の手は簡単に実弥の手に覆われてしまった。
彼はもどかしげに頭を掻く。

それから、息を吸って、言った。

「俺と…幸せになってくれ」

『…はい』

指を絡めて掲げた。

『喜んで』

それから、どちらともなく口付けを交わす…前にバスが来た。

「『間が悪い』」

半ば本気でバスこの野郎とか思って
公衆の面前で見つめあっていた私たちも私たちか、と思い至る。


まだ手は繋いだままで。

なのに別に何もありませんよという顔をするお互いが面白くて吹き出してしまう。

『これ、着いても付けたままでいいよね』

「まぁ…」

ぱたぱたと足を動かしてしまう。
私って単純だ。

『結婚しました!って言っちゃおうか』

「それは勘弁しろ」

実弥が笑う。
やっぱり大好きな笑顔。

左手を窓に透かすと、指輪が眩しく光った。

幸せを→←現在-救済



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いのり | 作者ホームページ:http  
作成日時:2021年6月7日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。