現在-傷 ページ35
「しつけぇっつってんだろ」
近所だし嫌でも顔を合わせるのは変わりなかった。
でも明らかに邪険に扱われている。
普通に話しかけようとしてるだけなのにここまで拒絶される?
露骨に無視されるのもあるし
本当に嫌われたのでは?って錯覚してしまいそう。
でも、多分私が諦めたらここで本当に終わっちゃう。
それだけは嫌だ。終わらせてたまるか。
『…今日だけで26回無視された』
逆に26回のガッツはすごいな私、誇りを持とう。
別にストーカーまがいの行動はしてないからね?
『どうしようかな〜いっそ自白剤でも使っちゃおうかな。
なんて』
「あ、Aちゃんだ」
『あぁ、こんにちは』
この前誘ってきた人だ。
「最近不死川とうまくいってないみたいじゃん」
『…いってるよ』
「あんなに無視されてて?」
相変わらず無神経だな、実弥を見習え。
「あいつも酷いよな、普通あそこまでしなくてよくね?
ちょっと調子乗ってんだよ」
『何言ってんの』
つい語気が強くなる。
「ごめんごめん、でもさ、Aちゃんには釣り合わないと思うよ」
睨みつけるが、怯まない。
「Aちゃん俺と付き合わない?」
『…は?』
唐突すぎてよく分からない。
「ほら、言うじゃん、過去の恋の傷を癒すには新しい恋だって。
俺だったら絶対いいと思うんだけど」
なんて図々しいというか、
これで私がうなずくと思うんだろうか。
『ごめん、無理』
「なんで?」
『過去の恋でもなければ傷ついてもないから』
勝手に口が動いている。
『実弥が私を、傷つけるわけないでしょ』
紛れもない本心から出た言葉だった。
実弥はいつでも私のために精一杯なのに
ずっと傷つけてるのは私だ。
「いやいや、騙されてんじゃない?
可哀想に、俺があんな奴のこと忘れさせてあげるよ」
にじり寄ってくる。
まずい、と思ったときにはもう遅い。
壁に追いやられ、横に移動しようと思うと腕が邪魔をする。
『ひっ…あ』
「大人しくなったね、諦めついた?」
もう男は見えていなかった。
身を固め、防御の姿勢をとった。
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