回想-片付け ページ17
『実弥?一応確認取るけどさ、何するの…?』
肩を押すが、びくともせず
実弥は私の手を掴んで舐め上げる。
「抱き潰す」
ひっくい声で囁いたと思うと
いとも簡単に手首を固定される。詰んだ。
「…A、いい加減観念しやがれェ」
『ひえ』
私が悪いから仕方ない、別に実弥が嫌なわけでもない。
けどこれは勢いじゃん。あとで後悔するよ絶対。
『ごめん…でも、でもやっぱり違うっていうか!
心の準備も何もできてないし』
「…」
『実弥にがっかりしてほしくないよ…?』
「…」
『なんていうか、いちばん可愛い私のときにしてほしい…駄目、かな』
「…」
何か言ってよ実弥。
そしてまばたきして。
「…調子狂う」
『え?』
すると実弥はやっと退いてくれた。
「帰るわ」
『帰るの?』
睨まれた。どうしろってんだって話か。そりゃそうだ。
『あのさ、実弥、急がないなら頼みたいことがあるんだけど…
せっかく家来てもらったし』
「まさか部屋の片付け手伝えとか言わねぇよな…」
御名答。
『おねがい!私1人でやるとどうしても途中で投げ出しちゃって全然片付かないんだよ…!』
だらしないよね、分かってますとも。
実弥が来るって分かってたらちゃんと片付けたよ私も。
でも見られたなら手伝ってもらってもいいはず。
「よくこんな散らかせんな」
『お恥ずかしい…』
「…Aって図太ェよな」
『馬鹿にしてる?それとも褒めてる?』
「図太いは褒め言葉じゃねぇだろォ…
普通さっき襲われそうになった男に部屋の片付けとか頼むか?」
『襲わなかったし』
実弥は怒りを通り越して呆れた顔をした。
「…これどこに置きゃいい」
『あぁ、適当に置いといてよ』
「これは」
『その辺に』
「おいこれ片付けの意味あんのかァ…」
『…あ、実弥見て見て!』
本の山から出てきたでかいぬいぐるみ。
実弥に似てるうさごえもんだ。
『実弥の生き別れの兄弟!』
「喧嘩売ってんのかァ?こんな顔してねぇ。もっと男前だろ」
『可愛いよ。実弥に似て』
『わーこんなに片付いたの久しぶりかも!ありがとう実弥!』
感動的だ。某テレビ番組のBGMが聞こえる。
「おう、じゃあなァ
あ…もう酒は飲むなよ」
苦笑いで返す。
絶対飲みませんとも。はい
その日の不死川家の朝は赤飯だったことは言う間でもない。
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