好きで溢れて【鬼滅の刃_短編集】

☆ 宇髄天元．甘いもの ページ7

『ごちそうさまでした〜』

空の食器に手を合わせる。
まだ口寂しい。

『なんか甘いものが食べたいな』

いつもにぎやかな屋敷なのに今はひとりぼっち。
まあ自由だから良い。

すると、

『あ、いいものみっけ！』

おいしそうな練切があった。

こんなものどこで…と思ったけど私の家にあるのだから食べたって構わないだろう。

『うーん、おいしい！』

これは上等のお菓子に違いない。
見た目もさることながら味も最高。

口も満たされたし洗濯でもしておこう。

きっと旦那さんも喜んでくれるはず…

「帰ったぜ」

『おかえりなさい！』

言ってたら旦那さんが帰ってきた。

夫の天元様はかっこいい。
ちょっと荒いし口悪いしうるさいけど。

「あー派手に疲れた。飯飯」

すぐに奥に引っ込む旦那。嫁に構ってくれてもいいのに。
しかし、すぐ私のところに戻ってくる。

「A、あっちに置いてた菓子知らね？」

『さぁ、知らないですね』

とっさに嘘をついてしまう。多分あれのことだ。
とても嫌な予感。

「ふーん、この前助けたご婦人に『俺が』貰ったやつでな。
食うの楽しみにしてたんだけどな？」

『あ、私お洗濯…』

身の危険を感じ立ち去ろうとするが、腕を掴まれて動けない。詰んだ。

『あの』

首筋に顔を寄せられる。
胸が高鳴るのは恐怖からか、それとも…

「甘い匂いがする」

唇を奪われる。

『ん！？』

口ごと食べられるみたいな錯覚に陥る。
唇に舌が沿わされくすぐったい。

口を開けてはいけないと本能が告げたが既に遅く

無理矢理入ってきた天元様の舌は、私の口内を余すところなく侵していく。

『ん…ふ、んんっ…！』

気づいたら後頭部をがっちり押さえられてるし
もう完全に夫のペースだ。

私は彼の胸に両手を添え耐えるしかない。

やっと唇が離れた。

『げほっ、けほ』

私とは対照的に何事もなかったような天元様。

彼はほぼどちらのものとつかない唾液を飲み込んだ。
ごくん、と喉が動くのを見てしまう。

「甘…嘘はよくねぇな、A？」

『ご、ごめんなさい』

「おう、正直で良い」

頭に手をおいてくれる。許してくれたみたいだ。

『別のお菓子買っておきます…』

「否、それは良い
…それよりお前の方が甘くて癖になった」

天元様は舌なめずりをして、私の腰に手をまわす。

優しそうに見えてこの手は私を絶対逃がさない合図だ。

全て食い尽くしてやると言わんばかりの瞳に
私は身を委ねるしかない。

不死川玄弥．逃がさない彼女→←☆ 不死川実弥．多分嫌われてる

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