冨岡義勇.慣れていく ページ36
義勇さんを見つけた時、彼は一人で鍛錬をしていた。
汗が滝のように体を流れることも気にせず
一心不乱に刀を振るっている。
ぼけっとしているとか、不真面目だとか
たまに言われる義勇さんだが、こんなにもひたむきだ。
私がそれをちゃんと知ったのも、ついこの前…お付き合いを始めてからで。
「…Aか」
『あ、すいません。邪魔をしてしまいましたか』
「いや、そんなことはない」
本当に汗がすごい。
いったい何時間やっていたんだろう。
『休憩にしますよね?水浴びでもしてきてはどうでしょうか』
「そうだな」
義勇さんは私が差し出した手ぬぐいを受け取る。
と、おもむろに服を脱ぎだした。
『な、な』
なんでここで!?
鍛えられた上半身が露わになって、目のやり場に困る。
そんな私を、体を拭きながら伺う義勇さん。
「…どうした」
多分暑いから脱いだだけだし、別に照れるほどのことでもないだろうが。
『なんでもありません!』
大きな声でごまかし、歩き出そうとするが
頭の中がふわふわしているからか石につまづく。
『うわわっ』
「A」
しかし転ぶことはなく
そのかわり義勇さんの逞しい胸に頭をついていた。
『あ…わぁあああごめんなさい!すいませんでした!!』
「気をつけろ」
心臓がバクバクして止まらない。
流石に私の異変は気づかれたようで
「今日は変わっているな…何かあるのか」
『いえ、何も!』
必死でごまかしているようで怪しかったのか
義勇さんは静かにこちらに寄ってくる。
「…俺には言えないことか」
低い声で囁かれて肩が跳ねた。
ち、近い…!
観念して私は口を開いた。
『なんとなく…変に意識しちゃうというか…』
何言ってるの私?これじゃ変なこと考えてるみたいじゃん。
「意識?」
『だって、こ、恋人…ですもん…』
「…」
ずっと目を逸らしてくれない義勇さん。私も何故か目が逸らせない。
すると突然、口を塞がれた。義勇さんの唇で。
『…!?あ、あの』
「だったら慣れていけばいい。
こんなことも、距離の近さも…裸を見るのも」
いつもと違って積極的なことを言う義勇さん。
慣れるって、無理だよ!だってこんなにドキドキするのに…
「何度もすればどんなことも慣れる。…もう一回するか」
『い、いやあの…んっ』
2回目の口づけ。
慣れそうにない。
義勇さんはというと、味をしめたか怪しい笑みを浮かべてすらいる。
本当に、慣れるしかないみたいだ。
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いのり(プロフ) - みなさんお久しぶりです作者のいのりです!最近更新頻度かなり落ちてて申し訳ないです。今は長編メインで書いているのでこっちの短編は息抜き程度で書くことになると思います。リクエストは受け付けていますのでぜひお願いします!!いつもありがとうございます (2021年8月12日 23時) (レス) id: a2d88c155e (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - いのりさん» 善逸をもう少し増やして欲しいです!!!!!!伊黒さんで過保護。お願いします。 (2021年6月17日 23時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - いのりさん» 伊之助…………、可愛い…………。(///ω///)リクいいですか!?(?_?)獪岳(人間時)でツンデレ。かまぼこ隊のヤンデレ。お願いします。 (2021年6月17日 23時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 伊之助ので、夢主が看病してもらう話いいですか? (2021年6月12日 21時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 - 千寿郎君で、花火大会。お館様の妹で過保護お願いできますか (2021年5月31日 21時) (レス) id: 1d6f0bde69 (このIDを非表示/違反報告)
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