☆ 錆兎．男として ページ22
※生存
「…A、今空いているか」
『うん』
恋人の錆兎が私を探しに来た。
こういう時は基本鍛錬か、ひょっとして…
「街に出ないか」
『いいよ！』
『美味しい〜！』
私が大きな口で甘味を頬張るのを錆兎は微笑ましげに見つめる。
錆兎は私の乙女らしからぬ食いっぷりが好きらしい。
「はは、そんなに勢いよく食べたら詰まるぞ。
焦らなくても甘味は逃げない」
『知ってるんだけどね…げほっ』
「あ、だから言っただろう」
こんな子供みたいな私とは違い、錆兎は完璧な人だ。
完璧でいたがる。
男として弱さも鈍さも未熟さも見せない。
けど、私はそれを嫌がった。
『錆兎、弱さを見せられるのも強さだよ』
こんなのは取ってつけた理屈のようなもので
本音は彼の全てを受け止めたかった、それだけだ。
でも、錆兎は笑って頷いた。
「惚れた女にそんな顔をさせるなんて、男として失格だ」
なんて言って。
「…A、どこへ行きたい？」
『うーん、食べたから運動したい』
「そうか。街じゃ運動できないな」
今日の青空は綺麗だ。
畦道を抜けると、先程の賑わいが嘘のような
木の葉の音が直で聞こえてくるような開けた場所がある。
私たちはそこで走りまわって、木の枝で打ち合ったりした。
それから、原っぱに寝転ぶ。
「腹を痛めていないか？」
『大丈夫だよ』
もう一回、と言いそうになるがこれ以上は無駄に体力を削るのでやめておこう。
錆兎は今晩任務があるんだ。
言われてないけど、錆兎は重大な任務がある日にはこうして私を街に誘う。
なんだか不吉なことをするなと私は嬉しくなかったけれど
錆兎は後悔のないように、私を出来るだけ悲しませまいと努めてくれている。
私にだって、それくらいは分かるよ。
「A？」
『どうしたの』
「…またお前にそんな顔をさせてしまったな」
いいんだよ、別に。お互い様だからさ。
「大丈夫だ。明日も会える、これからも。約束する。
Aを泣かせたら俺は男じゃない」
『錆兎は大袈裟なんだよ』
「そうかもな」
小指を出すと錆兎が笑って小指を絡める。
日が落ちなければいいのにな。
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いのり(プロフ) - みなさんお久しぶりです作者のいのりです！最近更新頻度かなり落ちてて申し訳ないです。今は長編メインで書いているのでこっちの短編は息抜き程度で書くことになると思います。リクエストは受け付けていますのでぜひお願いします！！いつもありがとうございます (2021年8月12日 23時) (
レス) id: a2d88c155e (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - いのりさん» 善逸をもう少し増やして欲しいです！！！！！！伊黒さんで過保護。お願いします。 (2021年6月17日 23時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - いのりさん» 伊之助…………、可愛い…………。(///ω///)リクいいですか！？(?_?)獪岳(人間時)でツンデレ。かまぼこ隊のヤンデレ。お願いします。 (2021年6月17日 23時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 伊之助ので、夢主が看病してもらう話いいですか？ (2021年6月12日 21時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪 - 千寿郎君で、花火大会。お館様の妹で過保護お願いできますか (2021年5月31日 21時) (レス) id: 1d6f0bde69 (このIDを非表示/違反報告)
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